Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
男子大学陸上部学生を対象とし、低酸素(16%)群8名、平地群7名に分けて、間欠的トレーニングを4週間計6回行わせ、無気的パワーに及ぼす効果を明らかにすることを目的とした。間欠トレーニングは、各群内でも5秒全力運動、10秒休息でオールアウトまで反復する者と10秒全力運動、20秒休息で行う者とに分けた。オールアウトまでの本数は、低酸素群(約16本)と平地群(約20本)で有意な差は認められなかった。トレーニング中の動脈血酸素飽和度は、低酸素群(約88%)の方が平地群(約94%)に比べて有意に低い値を示した。トレーニングにおけるオールアウト後の血中乳酸濃度は、低酸素群の方が平地群に比べて高い傾向を示した。トレーニング4週間後、身体組成は、平地群では体脂肪率は高い値を、脚の筋量は有意に低い値を示し、これらのことは、低酸素刺激による脂肪燃焼および筋量の維持増加の可能性を示唆すると考えられた。トレーニング後では、両群ともに自転車1kp全力駆動の最高回転数および平均パワーは有意な増加が認められた。しかし低酸素群のみ後半の低下が有意に抑制されていた。40秒全力駆動では、低酸素群のみ有意な増加が認められ、平地群では後半の低下が有意に増大していた。最大酸素摂取量では、両群ともに有意な増加が認められ、換気量の有意な亢進も認められた。運動持続時間も有意な延長を示した。日常生活を平地環境で過ごし、トレーニングのみを常圧低酸素室を用いた低酸素環境下で4週間6回のトレーニングは、無気的パワーの能力改善に有効であることと、有気的能力の向上にも効果的であることが明らかとなった。