Budget Amount *help |
¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 2005: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
昨年度いくつかのダイオキシン異性体は甲状腺ホルモンシステム攪乱作用を有することを示唆した。引き続き検討を行い1,2,3,7,8-PeCDDとOctaCDDに甲状腺ホルモン様(T3)作用が、反対に1,2,3,4,7,8-HxCDD,1,2,3,6,7,8-HxCDD,1,2,3,7,8,9-HxCDDは抗T3作用を示すことを確認した。 化学物質のヒトへの暴露経路は、食品摂取が主要なルートになると考えられる。そこで、食品(昆布)からの抽出液を用いてアッセイを行った。データの再現性が悪かったが、抽出液中には甲状腺ホルモン攪乱作用を示す化合物が含まれていることが示唆された。再現性の悪さはおそらく抽出操作と、暴露溶液の組成に影響を受けていると思われる。 甲状腺ホルモン攪乱作用を示す化合物には、これまでに指摘されていない特徴的な立体構造をとることを示唆した。つまり、T3と同様に2つのベンゼン環にネジレのある物質が攪乱作用を示す。このネジレ角をコンピュータソフト(GAUSSIAN03)を用いてより精度高く推定した。化学物質による甲状腺ホルモン攪乱作用を考慮する場合、実験系によるアッセイに先立って、コンピュータシミュレーションによる立体構造解析を行うことで、攪乱作用の一次スクリーニングが可能であることを本研究では提示できた。 本研究ではこれまでに、化学物質によるT3レセプター(TR)を介した甲状腺ホルモンシステム攪乱作用のアッセイ系開発、攪乱メカニズムの解明を目的に研究を行ってきた。アッセイ系としては、本研究でも採用したルシフェラーゼ活性を指標とするレポータージーンアッセイのほか、T3特異的な遺伝子転写産物を指標とする方法も提案されている。本研究で確立したレポータージーンアッセイ法ならびにコンピュータを用いた立体構造解析と、これまでに提案されている遺伝子転写産物をマーカーとして、これらを適宜組み合わせることにより、化学物質による甲状腺ホルモン攪乱作用をより正確に理解出来ると考える。
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