中国の内モンゴル自治区における生態移民の実態解明に関する研究
Project/Area Number |
15710176
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Area studies
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
甦 叶 東北大学, 東北アジア研究センター・寄付研究部門助手 (30333909)
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | 生態移民 / 内モンゴル / 国際情報交換 / 草原環境保全 / 環境政策 |
Research Abstract |
本年度は本研究の最終年度であり、主に以下の内容を実施し、生態移民政策の実態が見えてきた: 1、前の年に収集した基礎情報を基に、今年度は調査対象地であるシリンゴル盟の黄旗の草原環境を影響する主因である降水量の変化傾向を分析した結果、気候的に干ばつの発生率は高いものの、最近の40年間で黄旗の経年平均降水量は全体的に減少した傾向が確認できなかった。1998年〜2001年まで続いた大干ばつは既に限界にあった草原の生態環境及び牧畜社会に与えた打撃は空前であることが分かった。草原環境保全政策の一環として生態移民政策が2002年から各地に実施された経緯を文献調査で明らかにした。 2、2004年8月と2005年2月の2回にわたって生態移民に対するアンケート調査及び現地調査を実施した。調査地である黄旗を事例に、生態移民の実施に当たって政府側と牧民側の対応を調査した。生態移民プロジェクトに巻き込まれた黄旗の10世帯の生態移民を対象としたアンケート調査の結果によると、牧民達の生業は移転前の牧畜中心から移転後の酪農業及び臨時雇用に依存する形態に変わった。年間総収入はわずか増加したが、大幅の支出増によって、牧畜民の家計は前に比べ厳しくなったことが分かった。 3、1980年代に請負制度の実施によって各牧畜民世帯に割り当てられたが、生態移民として草原を離れた人々は利用権を持ちながら牧草地を利用できなくなった現象が起きている。その上、生態移民の発生地域である禁牧区では放牧活動を行う「盗牧」現象が多発し、管理体制に欠如があることがわかった。 4、上記の研究結果をまとめたものを2004年12月11日に日本モンゴル学会で口頭発表し、研究結果の一部を地球研叢書に『中国の環境政策「生態移民」』にて2005年4月に発表する予定がある。また、東北大学東北アジア研究センターの発行物である「東北アジア研究」に研究報告書を投稿する準備中である。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)