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ロシア演劇におけるアヴァンギャルド・パラダイムの総合的研究

Research Project

Project/Area Number 15720058
Research Category

Grant-in-Aid for Young Scientists (B)

Allocation TypeSingle-year Grants
Research Field ヨーロッパ語系文学
Research InstitutionKobe University

Principal Investigator

楯岡 求美  神戸大学, 国際文化学部, 助教授 (60324894)

Project Period (FY) 2003 – 2005
Project Status Completed (Fiscal Year 2005)
Budget Amount *help
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Keywordsロシア / アヴァンギャルド / 演劇 / メイエルホリド / 構成主義 / 未来派 / 20世紀 / 革命運動 / アヴァンギャルド演劇 / ポストモダン / アナトリー・ヴァシリエフ / チェーホフ / 戦争と演劇 / ナショナリズム / 戯曲・演出センター / ペテルブルグ / モスクワ / ドイツ現代演劇 / カザンツェフ
Research Abstract

19世紀末から第二次大戦までの時期のヨーロッパ文化はモダイズムとよばれ、20世紀パラダイムの確立期として近年文化研究での再評価が進んでいる。ロシア・アヴァンギャルドもそのような社会変革の機運を背景に「新しい社会の創造」と「新しい芸術表現の構築」を一体化させる運動であったことはすでに多くの研究によって明らかにされている。しかし、あまりにもその革新性・前衛性ばかりが強調されてきた。また、アヴァンギャルド運動を担った当時の芸術家のおかれた状況を美化しすぎたり、芸術家の発言を検証することなく、そのまま肯定してきてしまった面がある。近年、このような短所に注意を払い、ロシア帝政およびソ連時代の政治社会システムを包括的に分析し、その社会状況の中にアヴァンギャルド(もしくはロシア文化の変容といてもよい)を位置づけようとする動きが定着しつつある。
それでもなおかつ、ロシア/ソ連を特異領域として強調してしまうエリアスタディーの領域にとどまっているのは演劇・文学研究の今後の課題を逆に明確にしていると思う。ソ連の政治・社会システムがロシア独特の歴史的要素を持っているとはいえ、あくまで19世紀に顕在化したヨーロッパ近代社会のグローヴァル化が、周縁であるがゆえに先鋭化したものであることは考慮されるべきである。本研究の過程でロシア・アヴァンギャルドを他のドイツ、イタリア、フランスなどの芸術活動とは別個に語ってきた従来の方法は、やはりロシアに対するヨーロッパ的なエキゾチズム=オリエンタリズムの視点だったことが明らかになってきた。1917年のロシア革命を、絶対的な断絶点とする考え方は見なくなってきたものの、あくまで国境によって区切られた空間を芸術表現の文化圏と一体化させる考え方が主流である。しかし、本研究の関心の中心的存在であるメイエルホリドも、ドイツ語を自由に解し当時の先端の演劇情報や戯曲をフランス・ドイツから取得し、ダイレクトに実践していたことは、レパートリーにメーテルリンクやクロムランク、ハウプトマンらが名を連ね、演劇論はニーチェ等に依拠していることからもわかる。また、人的交流としては、1910年にすでにディアギレフがロシア・バレエの斬新さでパリに衝撃を与え、シャガールはパリへと絵の修行に出かける。そのパリにはピカソなどがスペインから来ていたことを考えれば、ヨーロッパ大陸はひとつの大きな芸術領域であったことがわかる。
アヴァンギャルド運動を考察する際、この時期が現在の演劇概念の基礎となる近代劇が確立した重要な時期であることも考慮すべきである。ヨーロッパ社会が近代化されるに連れ、思想も表現も大きな変化を遂げた。演劇でも、劇作家ではイプセン(ノルウェー)やチェーホフ(ロシア)等が、演出家ではスタニスラフスキー(ロシア)が日常生活を演劇のテーマとして取り上げ、市民社会への移行期にあって新しい観客を獲得した。このような規範の確立が、同時に近代への反発として新しい芸術手法の探求という欲求を生み、実験的なアヴァンギャルド演劇が展開される。これらも、従来はアンチ・リアリズムという固定的なカテゴリーの中にとどめられていたが、今後はリアリズムもまた「新しい社会の表現」であることに留意し、逆にアヴァンギャルドもまた近代批判でありながら、結局は進歩主義的、科学主義的パラダイムという近代の枠組みの中にとどまらざるを得なかったことを両方の手法の展開を統合するような総合的な分析によって明らかにすべきだと思う。

Report

(3 results)
  • 2005 Annual Research Report
  • 2004 Annual Research Report
  • 2003 Annual Research Report
  • Research Products

    (7 results)

All 2005 2004 Other

All Journal Article (4 results) Publications (3 results)

  • [Journal Article] 二十世紀とロシア演劇-アヴァンギャルドと普遍性への夢-2005

    • Author(s)
      楯岡求美
    • Journal Title

      近代 95

      Pages: 183-196

    • NAID

      110002963981

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      2005 Annual Research Report
  • [Journal Article] 自己のルーツを探す旅-モスクワ、サンクト・ペテルブルグ-2005

    • Author(s)
      楯岡求美
    • Journal Title

      Theatre Year Book 2005 Theatre Abroad (諸外国の演劇事情)

      Pages: 242-246

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      2005 Annual Research Report
  • [Journal Article] ロシア演劇と『酸素』2005

    • Author(s)
      楯岡求美
    • Journal Title

      ユーラシア研究 33

      Pages: 27-31

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      2005 Annual Research Report
  • [Journal Article] 恋の言語化の果てに-アナトリー・ヴァシリエフ演出『オネーギン』-2004

    • Author(s)
      楯岡 求美
    • Journal Title

      演劇人 16

      Pages: 131-135

    • NAID

      40006344929

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  • [Publications] 楯岡 求美: "劇的空間としてのサンクト・ペテルブルグ-目で見る都市散歩"しゃりばり. 12月号. 48-53 (2003)

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  • [Publications] 楯岡 求美: "メイエルホリドの演劇性-チェーホフ、コメディア・デラルテとの出会い"講座 文学5 演劇とパフォーマンス(岩波書店). 5. 145-165 (2004)

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  • [Publications] 楯岡 求美: "『かもめ』の新しさ"第84回神劇まわり舞台 劇団どろプロデュース『かもめ』公演パンフレット. 3-5 (2003)

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Published: 2003-04-01   Modified: 2016-04-21  

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