空範疇の言語理論における整合性と有用性に関する実証的研究
Project/Area Number |
15720116
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
English linguistics
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Research Institution | Nagoya Sangyo University |
Principal Investigator |
中川 直志 名古屋産業大学, 環境情報ビジネス学部, 助教授 (70321015)
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Project Period (FY) |
2003 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2005: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | 極小主義 / 空演算子 / tough構文 / 素性共有 / 多重一致 / 不定詞節 / 空演算子移動 / 一致 / PRO / Aree / 主語コントロール / promise構文 / PIC / 空格 / MDP / MLC |
Research Abstract |
空範疇は統語理論の説明力を高めてきた概念であるが、近年その存在自体の可否が再検証される事態となっている。本年度の研究ではtough構文における空演算子(以下OP)を取り上げ、その移動がもたらす理論的・経験的問題点を明らかにし、移動を用いない独自の分析を提案してきた。 OP移動の論拠は、顕在的wh要素を含む構文とOP構文に見られる統語的平行性(OP島の効果、等)にある。しかし、Chomsky (1998,2001)の枠組み(以下MI/DbP)においては、OP島の効果はOP自体の存在ではなく、OPが持つ[+wh]素性によって引き起こされるとされた。この分析の帰結の一つは、OPの音韻的実在、すなわちOPの音韻素性の存在を仮定する必要がなくなったということである。そもそもOPが発音されないことを考慮すれば、この帰結は妥当なものと言えよう。 ところが、この帰結はMI/DbPにおいて一つの理論的問題を引き起こす。というのは、MI/DbPにおいて移動は音韻素性を要求すると規定されているため、OPが音韻素性を持たないとすれば、OPの移動そのものが阻止されるからである。しかし、tough構文における不定詞節内の空所は長距離の認可が可能であり、OPの顕在的移動を示唆している。 本研究においては、tough構文のOPについて以下の仮説を提案しその妥当性を主張している。 (1)a.OPはそれと一致するvと主節のvが直接一致できる限りにおいて、元位置から移動しない。 b.OPは主節のvが検索子(probe)となり主節主語および不定詞節のvと多重一致(Multiple Agree)することによって認可される。 c.OPの長距離認可は主節のvとOPが基底生成される不定詞節のv、およびそれらの間に介在するCが互いに素性共有することによって仲介される。
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Report
(3 results)
Research Products
(5 results)