Budget Amount *help |
¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2004: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
本年度の屋外における調査研究としては,夏期に島根県匹見町内に所在する石ヶ坪遺跡の発掘調査を行ない,縄文後期から晩期にかけての包含層を検出すると共に,この包含層中から検出した遺構確認面付近の土壌をウォーターセパレーションにかけ,炭化物の抽出を行なった。これらの炭化物を年代測定したところ大体縄文時代後期の年代が示されている。この炭化物の内容については,材がその多くを占め,炭化種子を検出することはできなかった。 さらに石ヶ坪遺跡から検出された墓と考えられる土坑内の土壌をリン酸分析にかけ,土坑が貯蔵穴であった可能性についても比較検討を行なうと共に,昨年度の調査で課題となった土坑の性格をより慎重に考古学的に再検討するために,層位毎の土壌サンプリングを行ない,これを比較検討した。 これらの新知見と昨年度までの知見を総合して,石ヶ坪遺跡における居住形態および生業形態の復元を行なった。その結果,石ヶ坪遺跡においては一時期に二棟程度の住居が存在し,これら居住域と墓域がかなり明確に分離されていたらしいこと,貯蔵穴に相当するような土坑が見当たらず,通年的な定住生活をおこなっていたかどうか疑わしいこと,などが明らかにされた。石ヶ坪遺跡はその規模からみて,当該地域の拠点的性格を持つ集落であり,その遺跡でさえも通年的な定住をしていなかった可能性を指摘しえたことは,山陰地方における縄文時代の生業形態,ひいては「農耕」のあり方について,一定の示唆を与えることとなった。 また,本年度は最終年度にあたるために,研究調査の報告書を作成した。
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