Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
平成15年度の研究は、(1)文献研究から既存研究の整理を行うこと、(2)データベース作成の基盤を固めることの2点に注力した。まず、国内外の既存研究を精査し、これまでにどのような理論的観点から、どのような手法を用いて規模の経済性が測定されてきているのかの調査を行った。規模の経済性の研究は、当然ながら経済学や産業組織論の観点からの研究が多数を占め、経営学の視座から明示的にこのテーマを扱った研究が限られていることが明らかとなった。実証研究は今なお少なく、使われたデータは主に2次データである。また、研究対象となった業種についても、本研究の関心である保険業、信販業、消費者金融業といったノンバンクがこの種の研究の分析対象とされた例は極めて少ない。規模の経済性の計測方法について、文献研究から新たに習得した方法にしたがって試験的な分析が行われた。文献研究と平行して、実証研究のための財務データベースの作成に着手した。日本消費者金融協会(JCFA)や全国貸金業協会連合会から提供を受けた、ノンバンクの財務その他のデータについて、入力作業と編集作業を行った。このデータベースには未上場のノンバンクの財務データが多数登録されているほか、上場企業の財務データであっても財務諸表上に記載されていない情報が複数含まれ、企業、支店、商品といったさまざまレベルから、規模の経済性を測定することが可能になると思われる。本年度に作業を行ったのは1994〜1997年度および2001年度のデータである。入力したデータは、PCとMOディスクに蓄積していった。次年度以降に試みる規模の経済性に関する計量分析は、このデータベースに依拠して行われる。