Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,視覚,聴覚,および体性感覚を物理刺激として,これらの各モダリティおよびクロス・モダリティ提示刺激からの自己運動知覚がどのように生じるかを検討することである。 本年度は,聴覚情報と視覚情報のクロスモーダル提示が視覚機能・行動制御に与える影響を調べ,その相互作用のメカニズムを解明することを目的とした。 今年度は,昨年度明らかにした曖昧視覚運動の聴覚捕捉による重心動揺に加えて,ともに曖昧ではない視覚運動と聴覚運動を同時提示し,その一致・不一致性の効果,および情報信頼性の効果を調べた。 実験の結果,視覚運動と聴覚運動の運動方向が一致しているときのみ重心動揺の増加が見られた。聴覚運動が静止しているとき,存在しないとき,そして視覚運動とは逆方向に運動しているときは,どの条件でも差がなかった。もしも,視覚情報と聴覚情報が単純な線形加算により統合されているなら,逆方向の場合には,音静止条件や音なし条件と比較して,重心動揺は抑制されなければならない。つまり,非線形な統合が行われていることが示唆された。また,視覚運動刺激の生存時間を操作することで,その信頼性を定量的に操作したところ,信頼性が適度に低い場合に,視覚と聴覚の同時提示による重心動揺の増強が顕著に見られた。 これらの結果から,視覚情報と聴覚情報からの自己運動情報処理においては,2段階のプロセスがあることが推察された。最初のプロセスは,視覚と聴覚の一致性・同期性のチェック処理であり,ここで一致していると判断された場合のみ,次の統合プロセスに進むが,一致していないと判断された場合には,聴覚情報は自己運動情報とは関係ないものとして,対象運動として処理されることになる。統合プロセスでは,視覚情報と聴覚情報は,それぞれの信頼性の高さに応じた重み付け加算が行われていると推察される。
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