Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2005: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2004: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2003: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
近年になってBarreira,Pesin,Schmelingらは,双曲型測度が「極限的直積構造」とばれる性質をもつことを発見しました.彼等はこの性質を用いてEckmann-Ruelle予想を解決しました.極限的直積構造は,位相的に定義された局所直積構造の測度論的な類似物になっています.しかし,局所直積構造ほどその研究は進められていません.本研究では,双曲型測度の極限的直積構造を用いたエルゴード理論的な研究を進めることを目的とします. 本年度はHenon写像族を用いて特殊な双曲型測度の例を構成しました.ここで,Henon写像族とは1976年にHenonによって考案されたR^2上の写像で,次式で与えられます:f(x,y)=f_<a,b>(x,y)=(y+1-ax^2,bx).90年代の初頭にBenedicks-Carlesonは,(a,b)=(2,0)に近いLebesgue測度正の集合Eが存在し,(a,b)∈Eに対してf_<a,b>の臨界的集合と呼ばれるCantor集合Cと定数c>0とλ>1があって次を満たすことを示しました:x∈Cに対し接ベクトルv=(0,1)をとると,Collet-Eckmann条件|D_xf^n(v)|>cλ^nを満たす.この結果をもとにして,Benedicks-Youngは(a,b)∈Eに対してf_<a,b>がSRB測度をもつことを示しました. これらの結果に対して、私はいくらでも小さなLyapunov指数をもつSRB測度をもつようなHenonアトラクターの例を構成しました.正確にはEを上で述べたBenedicks-Carlesonのパラメター集合とし,E^*をEの密度点の全体とします.任意の(a,b)∈E^*のいくらでも近くに(c,b)∈(a,b)が存在して臨界点集合CのLyapunov指数の最小値が0であることを示しました. 本研究で得られた例を基にして.双曲型測度がBernoulli性を持つための判定条件の研究、相関関数が多項式的な減衰をする(混合性の度合いが弱い)ストレンジアトラクターの構成ができると期待されます.
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