レーザーパルスの伝播効果を考慮に入れた分子回転状態のフェムト秒量子制御
Project/Area Number |
15740252
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
原子・分子・量子エレクトロニクス・プラズマ
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 顕一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (70344025)
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2004: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2003: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 量子制御 / 時間依存シュレーディンガー方程式 / 時間依存偏光 / フェムト秒レーザー / インパルシブラマン散乱 / 電子スピン操作 / 遺伝的アルゴリズム |
Research Abstract |
近年のレーザー技術の発展により、偏光が時間に依存するフェムト秒レーザーパルスの発生が可能になった。偏光はいわば光子の回転状態であり、光と原子・分子の相互作用を偏光によって量子制御できると期待される。高強度レーザーによる原子、分子のイオン化は非摂動論領域に取り扱う必要があるため、時間依存シュレーディンガー方程式の数値シミュレーションが広く用いられている。しかし、従来のシミュレーションは主に直線偏光のみを対象としている。本研究では、任意の時間に依存する偏光状態を持つレーザーパルス中の水素原子に対する時間依存シュレーディンガー方程式の数値計算コードの開発を行い、時間に依存する偏光がイオン化に及ぼす効果を検討した。 y方向に進行する任意の偏光のフェムト秒レーザーパルスを考えると、その電場はz成分とx成分を持つ。そのような電場を含む、水素原子に対する時間依存シュレーディンガー方程式中の、波動関数を球面調和関数で展開、動径波動関数を空間グリッド上で離散化し、時間発展を前進差分法で計算するコードを開発した。 例として、波長800nm、強度10^<14>W/cm^2で、直線偏光の偏光面が一定の角速度で回転しているような偏光状態のレーザーパルスによる水素原子のイオン化のシミュレーションを行った。原子の感じる電場強度の時間プロファイルは偏光面の回転速度によらないため、トンネル電離では電離度が回転角速度に依存しないことが予想されるが、計算結果からは、回転角速度に対する依存性があることが分かる。この結果からは未知の電離機構の関与の可能性が示唆され、また、時間に依存する偏光状態を用いて、電離度を量子制御できる可能性が示されたと言える。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)