リングせん断試験による津波地震のメカニズム解明に向けた実証論的アプローチ
Project/Area Number |
15740306
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Geology
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
氏家 恒太郎 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究員 (40359188)
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | 非排水せん断 / 速度ステップ / 間隙水圧 / せん断強度 / ダイレイタンシー / シアバンド / リングせん断 / せん断応力 / 定常状態 / 過圧密 / 未圧密 |
Research Abstract |
正規圧密した試料(カオリン粘土)を法線荷重一定(0.2MPa)で非排水せん断し、せん断強度、間隙水圧の定常状態灘後にすべり瀬を一桁ずつステップさせ(0.0008→0.008mm/s,0.008→0.08→0.8mm/s,0.08→0.8→8mm/s)、その際の間隙水圧,せん断度の変化を計測した。間隙水圧計測はせん断面2箇所で行った。 結果はいずれもすべり速度が増加するとせん断強度が増加する速度強化の挙動を示し、せん断面間隙水圧はすべり速度増加に伴いダイライタンシーを引き起こして低下した。すべり速度増加に対するせん断強度増加率は、0.08mm/sを境に大きく変化しており、0.08→0.8mm/s並びに0.8→8mm/sのせん断強度増加率は、0.0008→0.008mm/s並びに0.008→0.08mm/sのせん断強度増加率の約4倍に達する。このことは、地震時に断層浅部でのすべり速度が0.08mm/sを越えてくると地震すべりの進行が急激に妨げられることを示している。また、0.08mm/sというすべり速度は、すべり面が粘土からなる地すべりの最高速度とほぼ一致しており、本実験成果がそのまま天然の地すべり現象にも外挿できる可能性を示唆している。 せん断面間隙水圧変化は、せん断強度増加率変化とよく対応しており、すべり速度が0.08mm/sより高速領域では間隙水圧変動が大きく、低速領域ではほとんどない。せん断面の微細構造観察を行ったところ、0.08mm/sより低速領域で形成されたせん断面は、粘土鉱物が2方向に配列したシアバンドの発達で特徴づけられる。0.08mm/sより高速領域ではシアバンド繊の磯が促進され、その結果せん断面間隙水圧変動が大きくなり、せん断強度増加率が大きくなるものと考えられる。 まとめると、粘土ガウジからなる断層浅部では、地震時にすべり速度が0.08mm/sを越えてくると、シアバンド組織の破壊が促進され、せん断強度が急激に増加することにより地震すべりの進行が抑制され、津波発生のポテンシャルを大きく下げることが明らかになった。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)