Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2004: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
流れのあるプラズマに関する安定性理論の研究を行った. プラズマ中の平行流のうち,流れによって平衡が不安定化される例としてKelvin-Helmholtz不安定性が良く知られているが,流れそのものが安定であっても,それを付加することによりプラズマ中の潜在的な不安定性が更に不安定化される場合があることを示し,その結果をPhysics of Plasmasに発表した[Destabilizing effect of plane Couette flow, Phys. Plasmas 10,2278(2003)]. Couette流は空間的に線形なプロファイルを持つ流れであり,その空間的な不均一性により,従来まではモードを引き伸ばすことで不安定性を抑制する働きがあると理解されてきた.ところが,我々が今回示した例では,プラズマ中の波(正確にはAlfvenと呼ばれる横波)には流れの引き伸ばし効果に逆らって渦度を運ぶ働きがあり,背景流はそのAlfven波に打ち勝つほど速くない限り引き神ばし効果は弱く,却って元々あった磁力線の曲げによる安定化効果をキャンセルするために不安定性を助長する. 中性流体におけるKelvin-Helmholtz不安定性について,Rayleighの表面波モデルに対するスペクトル構造の詳細な解析を行った.このモデルは区分的に線形なプロファイルの背景流を仮定した簡単なものであるが,我々の構築したスペクトル分解理論により,連続スペクトルと点スペクトルとの間に周波数縮退が存在することが示されている.このモデルに対して,今回の研究では流れのプロファイルが線形からずれた場合,点スペクトルが連続スペクトルに転移することを示した.この転移に伴う時間挙動は,漸近的には大きな変化をもたらすが,ある時間までは線形流の場合とそれほど変わらないと想像される.また非中性プラズマにおけるダイオコトロン不安定性を考えれば,上記の周波数縮退にプラズマ振動がカップリングすることにより代数的な不安定性が生じることを示し,その結果を国際会議International Congress on Industrial and Applied Mathematics(Sydney,2003)において口頭発表した. これらの知見をまとめてレビュー論文を執筆し,プラズマ・核融合学会誌に投稿した(Stabilizing and destabilizing effect of shear flow,プラズマ・核融合学会誌に採録が決定).
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