Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
高精度計算を目指した相対論的分子理論を完成させるために,本年度は以下の研究を行った. 「相対論的クラスター展開法の開発」 昨年度開発した高速な4成分積分変換の理論とプログラムをもとに,本年度は高精度な重原子分子系の計算を実現するための対論的クラスター展開(CC)法の開発を行った.高次CC法になるにしたがって定式化が複雑になっていくが,非相対論の場合に有効に働くことが知られている自動定式化プログラム"TCE"を相対論の場合に拡張し,自動定式化およびプログラム化することで相対論的CC法を実現した.現在,基底状態に関する相対論的CC法が完成している.また,クラスター展開法により励起状態を取り扱えるようにするため,相対論的Fock空間クラスター展開法の開発も行った.同時にTCEに基づいた励起状態相対論的CC法の開発も進めており,現在その開発の大部分が終了しており,高速化のためのプログラム整備を行っているところである. 「大規模分子系に対する相対論的電子相関法の開発」 高精度かつ大規模計算を実現するために,非相対論レベルにおいて,従来幾つかの効率的なMP2計算の手法が開発されているが,それらには一長一短がある.本研究ではそれらの手法の長所を伸ばしつつ,短所を補うことのできる新しいタイプのMP2摂動法であるRILL-MP2法を開発した.非相対論レベルおよび相対論レベルでRILL-MP2法の開発を行った.これまでのテスト計算により,RILL-MP2法は通常のMP2法と比べ大規模な分子系に対して高速な計算が実現できることがわかった.また,どんな大きさの分子系に対しても,得られる精度は一定で,精度を落とすことなく計算が実現できる.重原子分子への適用の結果も相対論的RILL-MP2法は満足のいく結果を与えることが示されている.
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