プロトン・電子の量子効果を考慮した新しい第一原理分子理論の開発および応用
Project/Area Number |
15750020
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
立川 仁典 横浜市立大学, 総合理学研究科, 助教授 (00267410)
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
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Keywords | ab initio多成分分子軌道法 / ab initio経路積分法 / 配置間相互作用法 / 並列化 / プロトン水和クラスター / 同位体効果 / プロトンダイナミクス / 陽電子化合物 / 水素吸蔵合金 / 水素化リチウム |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続き、プロトン・電子混合系を量子力学的に取り扱うための基礎理論を開発し、具体的な並列化プログラムコードの作成、およびいくつかの応用計算を実行した。 1.ab initio経路積分法の並列化: 経路積分法は、N体の原子核の量子問題をN×P体(P:ビーズの数)の原子核の古典問題に置き換える手法であるので、P台の並列計算機の導入により、計算効率が向上することが期待される。そこで昨年度購入した並列計算機および本学教育用の計算機(合計24ノード)に本手法を移植するため、ab initio経路積分法のプログラムコードを並列化対応に書き換えた。既存設備であるPentium 4/2.6GHzマシン単体では、一つのH_3O^+イオンを計算する(30,000step,300K)のに2ヶ月以上の計算時間が必要とされたが、24並列計算機の導入により同レベルの計算が2日余りで終わり、飛躍的な並列化効率を確認することができた。 2.ab initio経路積分法の水和クラスターへの応用: 本手法は、経路積分法と高精度ab initio分子軌道法を組み合わせることで、核の量子効果だけでなく温度効果も同時に取り込むことを可能とする。最も単純なH^+イオンの水和クラスターである、H_3O^+イオンにおけるH/D同位体効果、温度効果を詳細に解析した。非調和性の効果により、OH距離はOD距離よりも長くなった。またhを3つの水素原子からなる平面とO原子間との距離とすると、H_3O^+イオンのhは、D_3O^+イオンのhより短くなっており、H_3O^+イオンはより遷移状態に近い構造をとることがわかった。従来の調和振動子に基づく解析では、このような幾何学的同位体効果、温度効果を表現することはできない。酸素原子の同位体置換体(H_3^<18>O^+イオン)においては、OH距離はH_3O^+イオンのOH距離と近い値を持つのに対し、hはむしろD_3O^+イオンの場合と似た値をとるという、大変興味深い結果が得られた。また、同位体効果が電子状態に与える影響も見出した。以上の成果を、Journal of Chemical Physics誌に報告した。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)