Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2004: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
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Research Abstract |
d^8電子配置を持つ平面型金属錯体はd_22軌道の重なりによって一次元構造をとることが知られている.一次元鎖構造をとることによってd_22から形成される一次元dバンドは電子で完全に満たされており,絶縁体である.このような一次元電子系に導電性などの動的な物性を発現させるためには,金属を部分酸化し電子状態に揺らぎを導入することが必要である.本研究では,比較的酸化が容易であるロジウム(I)のジカルボニル錯体と酸化還元活性なセミキノネート配位子を組み合わせ,金属と配位子の間での酸化還元反応によって一次元dバンドを部分酸化し,導電性を発現させることを目的とした.電子吸引性であるクロロ基を導入した3,6-ジ-t-ブチル-4,5-ジクロロ-1,2-ベンゾセミキノネート(3,6-DBSQ-4,5-Cl_2)を配位子に用いて,[Rh(3,6-DBDiox-4,5-Cl_2)(CO)_2]_∞(3,6-DBDiox-4,5-Cl_2は3,6-DBSQ-4,5-Cl_2あるいは3,6-ジ-t-ブチル-4,5-ジクロロカテコレート(3,6-DBCat-4,5-Cl_2)を表す)を合成し,金属-配位子間電子移動を利用して一次元錯体の部分酸化に世界で初めて成功した.この化合物は一次元金属鎖を持つ中性単一成分分子性導体の最初の例である.XPSスペクトルから,この化合物では[Rh^I(3,6-DBSQ-4,5-Cl_2)(CO)_2]:[Rh^<II>(3,6-DBCat-4,5-Cl_2)(CO)_2]=2:1であることを明らかにした.結晶構造解析から,錯体分子はXPSの結果と一致して一次元鎖内で三量体を形成していることが分かった.さらに,低温では,三量体は二量化し,六量体を形成することがわかった.この錯体は中性分子であるにもかかわらず,室温での電気伝導度がσ=17-34Scm^<-1>と非常に高い電気伝導度を示した.温度の低下とともに伝導度は低下するが,これは三量体の二量化と関連していると考えられる.
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