Budget Amount *help |
¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 2005: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2004: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
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Research Abstract |
本年度は、平成15年度および平成16年度に引き続き,アセトニトリル溶液中における様々なバナジウム錯体の酸化還元挙動をサイクリックボルタンメトリーによって調べた。さらに,サレン配位子を持つバナジウム,コバルト,鉄,銅錯体の酸化還元挙動を詳細に調べた。今回調査したサレン錯体の還元波は,今まで調査してきたバナジウム錯体と同様に酸やアルカリ金属イオンの影響を受けて,正側にピーク電位がシフトした。ただし,酸を添加した時は,還元体が分解する挙動が見られたのに対して,アルカリ金属イオンを添加した時は,酸よりも正電位側へのシフト幅は小さいものの,錯体の還元体は安定であった。一方,塩化物イオン等のサイズの小さいアニオンを添加すると,酸化波が負電位側にシフトした。 さらに,ニッケル-あるいは鉄-サレン錯体を電気的に還元してそれぞれCo(I)およびFe(I)錯体を発生させ,そこに塩化ベンジル,クロロ酢酸などの有機塩素化合物を添加すると,触媒的な還元挙動が見られた。これは,Co(I)やFe(I)が塩素に結合した炭素に求核攻撃し,脱塩素化反応が起こり,Co(II)あるいはFe(II)に酸化されることを示している。この条件に,アルカリ金属イオンを添加すると,触媒メカニズムには変化がないが,低い印加電位でも起こることが分かった。また,電極上に紫外線を照射すると,求核攻撃によって生成しているCo(III)-RClあるいはFe(III)-RClの金属-炭素結合が切れやすくなり,触媒サイクルが効率よくなり,還元電流値が大きくなる挙動が見られた。しかし,これらの一連の挙動はバナジウム-や銅-サレン錯体では見られなかった。 以上より,金属-サレン錯体の電気化学的酸化還元挙動を詳細に調べ,その酸化還元挙動に及ぼすカチオンやアニオンの影響および有機塩素化合物との反応性を明らかにした。
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