Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
昨年度構築したイメージング型の検出器を用いた深さ分解XMCD測定システムによって,磁性薄膜の磁気異方性に関する研究を行った。 まず,Cu(100)表面上に成長したNi薄膜にCO分子を吸着させた場合の表面および内部層の磁気異方性の変化を調べた。この薄膜は9原子層程度を境に,それより薄い場合には面内磁化を,それ以上では面直磁化を示すが,COの吸着によってこの境界が7原子層程度にまでシフトする。深さ分解XMCD測定の結果から,清浄表面では表面層は面内磁化を強く好み,内部層は比較的面直磁化を好むことが明らかになった。これにCOを吸着させると表面層の磁化だけが選択的に減少することがわかり,結果として内部層の影響が大きくなることで上述のような境界膜厚のシフトが起こると説明できる。また,表面層と内部層の吸収スペクトル形状の違いも初めて明らかにした。 次に,Ni/Cu(100)薄膜にFeを少しずつ蒸着した場合の磁気異方性を調べた。その結果,Feをわずか0.5原子層蒸着しただけで,面内磁化したある膜厚範囲のNi薄膜において面直磁化への転移が観測され,境界のNi膜厚は6原子層以下まで大幅にシフトした。さらに興味深いことに,続けてFeを蒸着していくと今度はFeが合計1-2原子層になったあたりで面内磁化への転移が起こり,境界のNi膜厚が16原子層以上にまで上昇した。このような劇的な変化の原因を解明するために,深さ分解XMCD測定を行った結果,Fe蒸着によってもともとは面内磁化を強く好むNi表面がその傾向をほぼ失うこと,Feは1原子層以下では面直磁化を強く好むが1原子層を超えるとその傾向は急激に失われることが明らかになり,上述のような2回の磁気異方性転移を定量的に説明することが出来た。
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