Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究は、2次元的に拡がった表面そのものを微結晶に対する応力場として捉え、基板応力をコントロールすることで応力フリーな微結晶を作成するための基板、また、ひずみを制御された微結晶を創製するための仮想基板の作成を目的としている。また、このように制御された構造の埋め込み量子ドットとしての機能評価をおこない、歪み量子ドットの材料設計へフィードバックをおこなうことを目標としている。今年度の実験の主要点は、ポーラスシリコンベース応力印加基板上へのIII-V族化合物のドット形成のその場観察(STM)と、一般的なMBE成長によるIII-V族ドットと上記応力制御III-V族ドットの比較(光学測定)の2点であった。光学測定からは、再結晶化基板の更なる結晶性の向上が必要であろうことが示唆されている。一方、ドットのその場観察については、昨年度から作業を進めていた主要観測装置である走査トンネル顕微鏡の制御システム、主にエレクトロニクスの更新が、年度修了間際になってようやく所望の性能を得るに至ったこともあり、これまでのところ有意な結果は得られていない。目的達成に不可避の作業ではあったが、予想外に時間を費やす結果となり、研究計画の大幅な遅延を招き、進行の管理について反省すべき点である。最終年度が終了することとなり、慙愧の念に堪えないが、今回の助成によりこれまで整備した機器を生かし、早急に成果を発表すべく研究を進めます。