Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2004: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
本年度は,昨年度に引き続いて表面反応素過程のマルチスケール解析を行なった.昨年度までの解析によってSiH_4分子の表面解離反応に関しては,既存の分子間ポテンシャルモデルでは実験結果を定量的に説明できないことが分かっている.これはモデルを構築する際に反応の活性化障壁及び経路を考慮していないためであると考えられる.そこで本研究では,提案されている複数の反応経路に対してNEB(Nudged Elastic Band)法を適用して反応の遷移状態を求め,その活性化エネルギーが既存のDFT(Density Functional Theory)計算の値に最も近くなるようにパラメータの最適化を行った.その結果,既存のモデルでは最大300%以上あったDFT計算との差異が50%程度まで低減された.そこで,この修正モデルを用いたMD(Molecular Dynamics)計算によって,入射SiH_4の初期条件(位置,姿勢)を種々に変化させた際の解離確率の並進エネルギー依存性を調べた.既存のモデルでは解離確率が実験値よりも1桁以上低かったが,修正モデルでは50%程度低い値を示すまで改善された.現段階でのモデルと実験値との差に関しては,活性化エネルギーの再現性の問題以外にも,入射初期のSiH_4の持っている回転・振動エネルギーが大きく影響していると考えられ,これは今後の課題である.しかしながら,本研究を通じてSiH_4からSi薄膜が形成されるメカニズムを解明するためのツールが得られたといえる.
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