Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
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Research Abstract |
本研究では,水晶と同等の優れた温度安定性を有するランガサイト(LGS)基板上のラブ波型弾性表面波に対して,高密度薄膜装荷による弾性波エネルギートラッピングを利用することにより,高結合・高安定・低損失のラブ波基板構造を実現することを目的としている.昨年度は,高密度薄膜としてアモルファスTa_2O_5薄膜,または金薄膜(Au)を用いると,最大で1%の結合係数とゼロ温度特性が同時に得られることを見出した.本年度は「低損失化」と「共振器への応用」について成果を得たので以下に示す. 1.ラブ波の低損失化 高結合化と高安定化が可能な第2オイラー角θ=0°,10°,20°((0°,θ,90°))のLGS基板上のラブ波の伝搬損失とバルク波放射損失を実験的に求めた.θ=20°の場合の伝搬損失は,アモルファスTa_2O_5薄膜のある膜厚において最小値を示した.一方,θ=0°,10°の場合では,Au装荷,Ta_2O_5/Al装荷の有る無しにかかわらず,0.01dB/λ以下の比較的小さい伝搬損失を有していることを明らかにした.また,θ=20°の場合のバルク波放射損失はTa_2O_5薄膜を装荷することによって,装荷なしの10dBから1dB以下の値まで減少すること,θ=0°,10°の場合では薄膜装荷によるバルク波放射の抑圧効果は小さいことがわかった.これらの結果から,θ=20°では,その伝搬波は表面に沿って伝搬するバルク波が主体であり,θ=0〜10°では損失の小さいラブ波が主体であることを明らかにした. 2.共振器への応用 これまでの成果を踏まえ,Au電極とθ=0°,10°のLGS基板を組み合わせた共振器を設計,作製し,その特性を評価した.波長20μm,ダブルIDT対数75,交叉幅1mm,反射器本数90のとき,約30dBのアドミタンス比,約1500のQ値,0.003の容量比,-65°〜85°の位相を有しており,STカット水晶の場合と比較して極めて良好な共振特性と位相特性を有することを明らかにした.以上の成果より,本研究で見出したラブ波LGS基板構造を利用することにより,ゼロ温度特性を有する発振器や広帯域共振器型フィルタの実現が期待できる.
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