Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
本年度は対象となる系における原点の安定多様体および不安定リミットサイクルの安定多様体について計算し視覚化を行った.まず,サドル型リミットサイクルにおける安定多様体の計算アルゴリズムを考案した.原点の一次元不安定二次元安定な小平面を初期値にして,逆時間でこの平面を成長させ,視覚化を行う.これには疑似リミットサイクル(接線分岐で消滅しているが,過渡的に安定にみえる空間)に沿ってポアンカレ断面を複数用意し,Osingaらが提案している簡易精度保証型のアルゴリズムを併用し,誤差を抑えながら候補となる平面の小パッチを生成してゆく.平面の集合はOpenGLを用いてコンピュータディスプレイに表現する.この結果により,安定多様体のゆがみが間接的に当該引力圏境の形成に影響を及ぼすことがわかった.しかしながら,それを数理的に説明できるようなモデルを構築するには至らなかった. 前年度との結果と結合させて,本研究にかかる問題について次の事項が確認される.(1)疑似リミットサイクルは多くの初期値を吸引する性質を維持している.(2)極めて対称性が強くなる場合に,また,二つのパラメータの組み合わせで,原点の固有値が純虚数に近い場合,すなわち原点付近の初期では非常に減衰の少ない,調和振動子に近い振る舞いを示す.この過渡応答の長さが軌道の初期値の情報を徐々に失わせる.(3)原点に十分漸近した軌道は一次元不安定多様体の不安定性に引きつられ,急速に原点付近から離脱する.以上のシナリオにおける数値的検証を行った.同時に,引力圏境の3Dモデルの構築を行い,三次元空間における初期値集合を計算した.上記の安定多様体の結果と組み合わせて,グラフィクス表現を行った. 前年度の結果とあわせて対象となる3次元自律系の大域的な性質,アトラクタの分岐問題のほぼ全容を把握し,系のパラメータ依存性,特異な応答の発生メカニズムを調べることが出来た.この結果の工学的応用についても,乱数発生器などを考案した.
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