アリ植物と共生アリの共種分化関係における種特異性を維持する化学的機構の解明
Project/Area Number |
15770008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Ecology/Environment
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
乾 陽子 大阪教育大学, 教育学部, 助手 (10343261)
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Project Period (FY) |
2003 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | マカランガ / アリ植物 / 種特異性 / 誘導防衛 / 揮発性成分 / 熱帯 / 東南アジア熱帯 / 共進化 / 宿主特異性 / オオバギ属 / 奇主選好性 / 共種分化 |
Research Abstract |
調査地であるマレーシア・サラワク州のランビルヒルズ国立公園に滞在し、現地に生育するマカランガ属アリ植物および共生するシリアゲアリについて野外調査と化学成分のサンプリングを行った。共生アリは、宿主のマカランガに食物と居住空間の提供を受ける代わりに、宿主の植食者や宿主にまきつく蔓植物を排除する防衛サービスを提供している。この防衛サービスに関して、働きアリの攻撃行動を類型化し、防衛強度の評価を行い、これをアリの種間で比較した。 その結果、共生するアリは、宿主自体が傷つけられていなくても、他株のマカランガの加害葉一片を近づけるだけで、攻撃行動を誘発されることが明らかとなった。さらに、他株の加害葉の種を変えて実験を行ったところ、宿主と同種の加害葉を与えたときの方が、宿主以外の種の加害葉を与えたときよりも、攻撃行動に参加する個体数が多くなった。また、この攻撃行動を誘導するシグナルとして、加害葉から放出されるにおい成分を分析したところ、マカランガの種間でその成分組成に違いが見られた。 以上のことから、共生アリはまず、種に関係なくマカランガの加害そのものに対して反応し、攻撃行動を開始することで来るべき宿主の外敵に備え迅速な防衛を行うとともに、宿主の加害に対してはより攻撃力を増すことで、効率的な防衛を行っているものと考えられた。 このことは、同所的に複数種が生育するにも関わらず、高度に種特異的な共生関係を築いている両者の共生系を維持する至近的要因の一つであると考えられる。 以上の成果は、現在論文にまとめ、化学生態学系の学術誌に投稿中である。
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Report
(3 results)
Research Products
(2 results)