Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
解糖経路の最後に合成されるピルビン酸や、クエン酸回路中で形成される2-オキソ酸はエネルギー産生系における必須の代謝物質である。これらの代謝反応に関わる酵素群の構造は真核生物と真正細菌では類似しているが、古細菌では全く異なる。また古細菌には超好熱菌などの極限環境に適応したものも多く、工業的利用価値も高いと期待されている。さらに好熱菌酵素の分子認識に関しては、特異な性質を有し幅広い基質選択性をもつ例が知られ、これらの酵素の構造・機能の研究は、酵素の基礎的理解の上からも、応用という面からも重要である。本研究では、既に全ゲノム配列が明らかになっている好酸性好熱古細菌Sulfolobus tokodaiiと好気性超好熱古細菌Aeropyrum pernix由来の2-オキソ酸関連酸化還元酵素及び代謝に関連する酵素を、X線解析により立体構造を明らかにし、真核生物や真正細菌の酵素との構造・反応機構を比較することで、代謝系の進化的な側面を探ってきた。古細菌Sulfolobus tokodaii strain 7及び古細菌Aeropyrum pernix K1由来の代謝酵素の蛋白質発現用プラスミドを大腸菌株に形質転換し、多量に発現する培養条件を検討した。カラムクロマトを用いて、結晶化に適したサンプルの高純度精製を行った。21種類について精製が完了し、得られたサンプルについては、蒸気拡散法で市販のスクリーニングキットを用いて広範囲に結晶化を行った。結晶化にはハイスループットな手法を取り入れた効率の良い結晶化法を開発した。結晶化条件をさらに最適化し、X線回折に適した結晶化条件を得て放射光実験を行い、回折データを収集し、分子モデルの構築・原子座標の精密化を行った。タンパク質の立体構造をデータベース、プロテインデータバンクに登録した。