Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2005: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2004: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2003: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Research Abstract |
植生・大気・土壌間の相互作用を考慮した生物地理・地球化学モデル(Bio-Geographical and GeoChemical model, BGGC model)を用いて,日本における温暖化時の陸上生態系の影響評価を試みた。具体的には,陸上生態系を示す指標として,潜在自然植生分布と純一次生産量(Net Primary Productivity, NPP)を対象として,温暖化時における,それらの変化を推定した。潜在自然植生は,そのエリアにおける陸上生態系の特徴をおおまかに示すものである。NPPとは,単位時間・面積あたりの「植物によって固定された正味の炭素量」であり,植生・大気・土壌間での物質循環の1つの指標と位置づけられる。温暖化時の気候条件として,最新の温室効果ガス排出シナリオ(SRES)に基づいて,全球気候モデルによって予測された気候変化データを用いた。またSRESのうち,A2とB2の2種類のシナリオを使用し,全球気候モデルも2種類のモデル結果を使用した。現状の全球気候モデルの空間解像度は,緯度経度方向が約300〜500kmと粗いため,空間的に補間することによって,約10km×10kmの空間解像度を持つ気候変化メッシュデータベースを作成し,温暖化時の潜在自然植生分布とNPPの推定に使用した。その結果,常緑広葉樹林の分布拡大に代表される潜在自然植生分布の変化とともに,NPPの変化が見られ,現状の気候条件でのNPP推定値と比較して,2050年代には19%〜33%の増加,2080年代には25%〜53%の増加が推定された。日本において冷涼なエリアに分布する亜高山帯の植生や落葉広葉樹林の分布減少が予測され,気候条件の変化とともに,それらの植生の分布に適する地域が減少し,脆弱性が増す可能性が推定された。
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