Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
正常細胞では細胞周期,細胞分裂の過程で染色体は正確に複製され正しく娘細胞に伝えられることが,その正常細胞が正常な営みを続けていくために必要である.かりに親細胞の遺伝情報が正しく娘細胞に受け継がれず,変異や欠失などを持った染色体が娘細胞に受け継がれた場合には,その娘細胞はやがて,がん化や細胞死に至る.このことを防ぐため,細胞には細胞周期,DNA複製,細胞分裂のさまざまな時点で働きうるチェックポイント機構が備えられており,染色体DNAを傷害する外的および内的刺激に対応している.本研究は,分裂酵母S.pombe Rad9のヒトホモログであるヒトRad9蛋白質(以下Rad9)を用い,細胞周期チェックポイント,特に細胞分裂のチェックポイントにおける,Rad9の機能およびリン酸化の意義について詳細に解析することを目的として行われた.Rad9は,Rad1,Hus1との蛋白質複合体形成およびC末端のいくつかのリン酸化によって機能発現すると考えられている.本研究ではまずRad9の複合体形成に関する研究を行い,新たな知見を得ることができた.すなわち,1.Hus1はユビキチン-プロテアソーム経路によって蛋白質分解を受ける.2.Rad1はHus1との分子会合によりHus1の蛋白質分解を抑制する.3.Hus1-Rad1複合体は安定に保持されるが,DNAに傷害によりさらにHus1の安定性が高進する.4.Rad9とHus1-Rad1複合体は分子会合しRad9依存的に核内へと運ばれ細胞周期チェックポイントの過程において機能発現をする,などである.Rad9のリン酸化と機能発現に関しては他の研究施設よりいくつかの報告がなされ,多くの知見が集まりつつある.本研究においてもゼブラフィッシュ,アフリカツメガエル,ニワトリ,ラット,マウス,ヒトなどのRad9アミノ酸配列中にCK2の認識配列が良く保存されていることを確認している.現在,CK2の発現系,阻害剤等を用いてRad9複合体のCK2による制御機構について引き続き研究を続けている.
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