寄生性原虫赤痢アメーバにおける貪食と病原性に関する研究
Project/Area Number |
15790219
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Parasitology (including Sanitary zoology)
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
中野 由美子 (斉藤 由美子) 国立感染症研究所, 寄生動物部, 研究員 (30321764)
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 赤痢アメーバ / Rab / 低分子量GTP結合タンパク質 / ファゴサイトーシス / リソソーム / 緑色蛍光タンパク質 / 肝膿瘍 / エンドサイトーシス |
Research Abstract |
前年度の研究において、赤痢アメーバは赤血球の貧食初期にEhRab5が局在する空胞を形成することが、貪食効率とin vivoでの肝膿瘍形成という病原性に重要であることを示した。本年度では、前述の空胞(prephagosomal vacuole ; PPVと名付けた)の役割を更に詳細に解析した。哺乳類細胞のファゴソームにおいてはリソソームの融合とともにリソソーム酵素がファゴソーム内に輸送されると共に酸性化されることが報告されている。そこで、先ずPPVが酸性化されるかどうか調べるために、酸性化コンパートメントを染色する蛍光基質を用いて染色した。その結果、貪食開始初期(5分)のPPVは酸性化されていないが、貪食の継続と共にPPVの内部が酸性化されていくのが観察された。最終的に、30分後のPPVが消失する頃には赤血球を含むファゴソームが酸性化されていた。次に、PPVが含むプロテアーゼを探索するために、各種の抗体で染色したところ、システインプロテアーゼ2とアメーバポアAを染色する抗体が、定常状態で酸性化コンパートメントに蓄積していることを発見した。そしてシステインプロテアーゼ2とアメーバポアAは、ファゴサイトーシスの開始と共にPPVの中に取り込まれ、PPVが消失する30分後にはファゴソームに輸送されていた。以上のことは、ファゴサイトーシスを開始する以前の赤痢アメーバのリソソーム内には、システインプロテアーゼ2とアメーバポアAが蓄積しており、EhRab5が局在する小胞が融合して形成されたPPVにリソソームが融合することによってPPVが成熟し、その後成熟したPPVがファゴソームに融合することでファゴソームでの分解が開始すると考えられた。さらに、このモデルを証明するために、変異型EhRab5発現下ではPPVが形成できないことを昨年度報告したが、この変異型EhRab5発現株におけるアメーバポアAのファゴソームへの輸送される効率を観察したところ、ファゴソームへのアメーバポアAの輸送効率が有意に低下しているのが観察された。つまりこの結果は、PPVの形成がファゴソームに分解酵素を輸送するのに重要であることを示している。 また、PPVの形成がde novoで小胞の融合によって起こることを証明するために、緑色蛍光タンパク質(GFP)融合EhRab5を発現することに赤痢アメーバで初めて成功した。ビデオを用いた観察により、GFP-EhRab5のシグナルが30秒以内に直径3-4ミクロンのPPVを形成することが分かった。以上のように赤痢アメーバのファゴサイトーシスの過程には非常にダイナミックな膜の動きがあり、多くの点で哺乳類細胞との相違点が明らかになった。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)