インターフェロン(IFN)-α-2bとIFN-βがヒト肝癌細胞の増殖に及ぼす影響
Project/Area Number |
15790346
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Gastroenterology
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
岡野 淳一 鳥取大学, 医学部附属病院, 助手 (00343278)
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Project Period (FY) |
2003 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | インターフェロン / 肝癌細胞 / 細胞内シグナル伝達経路 / アポトーシス |
Research Abstract |
平成15、16年度に得られた知見を基盤とし、退加実験を平成17年度に実施して、以下の結論を得た。 1.ヒト由来肝癌培養細胞であるHep3B、HLF、Huh6、PLC/PRF/5細胞は、interferon(IFN)レセプターであるIFNAR1とIFNAR2のmRNAを発現していた。 2.人体への投与時に血中で得られる濃度にほぼ相当する100U/ml〜3,000U/mlのIFNα-2bおよびIFN-β添加により、陽性コントロールである外陰癌細胞(A431)の増殖を経時的、経濃度的に有意に抑制したが、4種の肝癌細胞の増殖に対しては有意な影響を及ぼさなかった。 3.Signal transducer and activator of transcription(STAT)1とextracellular signal-regulated kinase(ERK)1/2はIFNα-2bおよびIFN-β刺激により濃度、時間依存性のリン酸化、すなわち活性化を受け、AKTはIFN-βによってのみphosphatidylinositol-3-OH kinase (PI3K)依存性にリン酸化を受けたが、p38MAPKはいずれのIFNによってもリン酸化を受けなかった。 4.肝癌細胞へのこれらのIFN添加により、G1期での細胞周期停止が誘導されたが、アポトーシス誘導を示唆するsubG1分画は誘導されなかった。 5.Mitogen activated ERK-regulating kinase(MEK)阻害剤であるU0126およびPI3K阻害剤であるLY294002の前投与は、IFNによる細胞周期停止や細胞増殖への影響を修飾することはなかったため、これらの細胞内シグナル伝達分子はIFNによる生物学的影響には関与していないことが示唆された。 6.IFNα-2bによるSTAT1の活性化にMEK/ERKは関与していないが、IFN-βによるSTAT1の活性化にはMEK/ERKおよびPI3K/AKTの細胞内シグナル伝達系が関与し、MEK/ERKとPI3K/AKTはSTAT1に対して正の制御を行っていた。したがって、肝癌細胞においてIFNα-2bとIFN-βは異なった機序で細胞内シグナル伝達経路の制御を行っていることが判明した。 以上の成果を、"Differential effects of interferon alpha-2b and beta on the signaling pathways in human liver cancer cells._Matsumoto K, Okano J, and Murawaki Y. Journal of Gastroenterology 2005;40:722-732"に発表した。
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Report
(3 results)
Research Products
(1 results)