Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
消化管免疫組織GALT(gut-associated lymphoid tissure)におけるリンパ球ホーミング現象においては接着分子やケモカインの関与が近年明らかにされているが、腸粘膜でのリンパ球マイグレーションにおけるケモカインの果たす役割については明らかにされていないため、CXCケモカインのひとつであるSDF(Stromal cell-dirived factor)は腸粘膜リンパ球マイグレーションにおいてどのような役割を担うかについてマウスのin vivoでの生態観察を通して研究を行った。生理的条件下および炎症性サイトカインTNFα腹腔内投与マウスに蛍光色素で標識したLPL(腸粘膜固有層リンパ球)を経静脈的に投与し、小腸粘膜、大腸粘膜を生体顕微鏡で観察した。次にSDF-CXCR4 systemを特異的に阻害するためにSDFレセプターCXCR4をdesenditizationした場合、また抗SDF抗体を投与した場合において同様の観察を行った。結果としては生理的条件下およびTNFα腹腔内投与マウスともに小腸粘膜、大腸粘膜両方でSDF-CXCR4 systemを特異的に阻害することにより、リンパ球マイグレーションは抑制された。つまりSDFは生理的条件下マウスおよび炎症が惹起された状態のマウスともに小腸粘膜、大腸粘膜両方でリンパ球マイグレーションに関与していることが生体観察において明らかにできた。またLARC-CCR6 systemおよびTECK-CCR9 systemについても動揺の実験を行いこれらのケモカインの役割を生体観察で明らかにしている。