Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
注意欠陥/多動性障害(attention-deficit/hyperactivity disorder ; AD/HD)の病態としてノルアドレナリン(NA)やドーパミンなどの神経伝達物質の働きの関与が報告されている。本研究ではAD/HDモデルラットとして広く繁用されている高血圧自然発症ラット(SHR)を用いて,AD/HD臨床薬Methylphenidate(MPH)の作用を検討した。SHR(雄性,生後3〜4週齢,20-50g)からNA含有神経核である青斑核(LC)ニューロンを含む脳スライス標本(230μm)を作成し,whole cell patch clamp法によって神経活動を記録した。その結果,SHRのLCニューロンはWistar系ラットと比べて,静止膜電位が小さく(脱分極),自発性活動電位の発射頻度は低い傾向が認められた。保持電位(-60mV)において,MPH(10-100μM)灌流投与によりMPH誘起電流が記録されたが,外向き電流発生(34±6pA, n=8),内向き電流発生(21±4pA, n=6),変化なし(n=7)という結果を得た。このとき抑制性シナプス後電流(IPSC)は,MPHによって濃度依存的に振幅とタイムコースが増大されたが,高濃度MPH(100μM)ではIPSCsの振幅を抑制する例もみられた。興奮性シナプス後電流に対する作用は認められなかった。通常の(Wistar)ラットを用いた同様の実験では,ほとんどのLCニューロンにおいてMPHは膜コンダクタンスの上昇を伴う外向き電流を発生していたが,SHRではニューロンによってMPH誘起電流の性質が異なることが示唆された。このことはAD/HDモデルであるSHRのLCニューロンにおける神経伝達物質の代謝や感受性が正常ラットとは異なることを示唆しており,このような差がAD/HDの病態の一因ではないかと考えられる。
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