Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Research Abstract |
今回の研究では,"がん細胞の増殖・生存シグナル伝達のいかなる違いが,放射線感受性ならびに分子標的薬剤・化学療法薬剤と放射線照射との併用効果の差異として現れるか"を中心に検討してきた.主として用いた細胞株は,ヒト乳癌細胞株(SK-Br3)とヒト肺癌細胞株(TIG7),ヒト扁平上皮癌(A431)であり,上皮増殖因子受容体であるEGFR・c-erbB2の発現は全ての細胞株でともに陽性を示した.分子標的薬剤・化学療法薬剤処理による細胞周期の変化は,A431ではZD1839処理後にはG2/M blockを認めたが,トラスツズマブ処理後に変化は認めなかった.一方,TIG7ではパクリタクセル処理後にG2/M blockが時間経過とともに明瞭になったが,ZD1839処理後には細胞周期の変化は認めなかった.A431に関しては,照射処理後にEGFR・c-erbB2ともにリン酸化が増強した.また,ZD1839処理ではEGFRのみでなくc-erbB2にもリン酸化の抑制を認めたが,トラスツズマブ処理ではc-erbB2のみにリン酸化の抑制を認めた.照射とZD1839あるいはトラスツズマブとの併用処理では,照射単独処理の経時変化と比較してEGFRあるいはc-erbB2の経時的なリン酸化の抑制を認め,clonogenic assayによる検討では併用処理で増感効果を認めた.さらに,2種類の分子標的薬剤(ZD1839とトラスツズマブ)と照射を併用することで,より強い増感効果を示した.これらの結果から,EGFRとc-erbB2のシグナル伝達にcross-talk reactionのある可能性が示唆され,今後,臨床的に分子標的薬剤と放射線照射の増感効果を利用するにあたっては,新たな基礎的データの蓄積を行うとともに,今回の結果に考慮しながら分子標的薬剤を効率的に利用する方法を検討していく必要があると考える.
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