Project/Area Number |
15790831
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Anesthesiology/Resuscitation studies
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
吉松 貴史 杏林大学, 医学部, 助手 (10360108)
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 高分子 / ゲル / 浸透圧 / 半透膜 / 炎症 / 細胞間質 / デキストラン / アルブミン |
Research Abstract |
<研究目的> 生体組織の細胞間質ゲルのモデルとしてデキストラン溶液を用い、その膠質浸透圧の経時変化を測定することにより、炎症時の組織浮腫発生に高分子ゲルの膨潤現象が関与している可能性を検討する。 <研究方法> 前年度に作成した浸透圧プローブを用いて、分子量の異なるデキストラン6%溶液(平均分子量40,000,DEX40および70,000,DEX70)の膠質浸透圧の経時変化を3時間測定した。半透膜としてアミコン社製限外ろ過膜YM30(分画分子量30,000、直径25mm)を使用した。 <研究成果> DEX40およびDEX70ともに浸透圧は、最初の10分間で急速に上昇、その後徐々に低下したが、低下の程度はDEX40はDEX70の約2倍であった。DEX40およびDEX70における最初の浸透圧のピークは、それぞれ7.6±1.3(分)、15.0±3.3(分)であり、ピーク値は、それぞれ36.7±4.4(mmHg)、38.5±5.5(mmHg)であった(n=5)。 <考察> 1.DEX40の浸透圧が最初にピークに達した後に大きく低下したことは、DEX70に比べて分子量の小さいDEX40の多くが、半透膜を透過したことによる。 2.DEX40の浸透圧のピークの発現が、DEX70に比べて早期に認められたことは、DEX70が半透膜の水透過性を低下させるのに対し、DEX40ではこの作用が小さいことを示唆している。 <本結果の意義> 炎症時、細胞間質の高分子ゲルは分解酵素により分解され、その分子量は低下する。したがって、高分子量のデキストランは正常時の細胞間質、低分子量のデキストランは炎症時の細胞間質のモデルとなる。デキストランの浸透圧は、デキストラン分子が水を吸収して膨潤する力、つまり生体組織において細胞間質ゲルが自ら膨潤して浮腫を形成する能力を示している。今回の結果は、 1.炎症時には、分解された低分子量の細胞間質ゲルが急速に水を血管内から吸収し細胞間質の浮腫を形成する。 2.しかし、低分子量の高分子は毛細血管壁を透過するため、浮腫の持続時間は短いことを示唆している。
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