卵巣癌の初期発生過程におけるBRCA1遺伝子の異常と機能的意義
Project/Area Number |
15790883
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Obstetrics and gynecology
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
伊東 和子 信州大学, 医学部, 助手 (40303458)
|
Project Period (FY) |
2003 – 2004
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
|
Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
|
Keywords | 卵巣癌 / BRCA1蛋白 / 初期発生 / 分子病理学 / BRCA1遺伝子 / メチル化 |
Research Abstract |
平成16年度(〜平成17年3月31日)の実績報告書 <目的>散発性の卵巣癌における病理組織学的なheterogenietyに着目し、これにBRCA1遺伝子変化とりわけエピジェネティックな変化を解析することで、卵巣癌の初期発生過程を分子病理学的に解明する。すなわち卵巣表層上皮細胞のBRCA1発現の検討、卵巣癌細胞におけるBRCA1の機能に関するin vitro解析を行うことを目的とした。<方法>当科で得られた手術摘出標本を用い、卵巣上皮性腫瘍119症例(良性19例、境界悪性24例、悪性76例)について検討を行った。BRCA1領域のアリル欠失(LOH)は、BRCA1蛋白の発現とBRCA1遺伝子変化の間の関連性を解析するための3つのmicrosatellite markerを用いて調べた。BRCA1 promoterのメチル化の有無はmethylation-specific PCRで解析した。同一腫瘍内でBRCA1のheterogeneous expressionが認められる卵巣癌では、BRCA1陽性部分と陰性部分をそれぞれmicrodissection法を用いてDNAを抽出し、LOHとメチル化の有無を解析した。さらに、BRCA1発現あるいはBRCA1遺伝子変化の臨床病理学的パラメーターと患者の予後への関与を解析した。<結果>卵巣表層上皮細胞にBRCA1蛋白の発現を認めた。BRCA1発現の低下は良性腫瘍で16%、境界悪性で38%、癌で72%に認められた。BRCA1のLOHは良性では認めず、境界悪性の15%、癌の66%に認められた。BRCA1のメチル化は良性と境界悪性で認められなかったが、癌の31%に存在した。BRCA1発現の低下はBRCA1遺伝子のメチル化の存在の有無と関係していた。BRCA1のメチル化とLOHの頻度は他の組織型に比し漿液性癌で高かった。BRCA1のheterogenous expressionを示した3例の漿液性癌のうち1例では、BRCA1蛋白発現陽性の境界悪性様の所見を呈する細胞がLOH陽性、メチル化陰性であった一方で、近接したBRCA1蛋白発現陰性の癌細胞はLOH陽性、メチル化陽性であった。卵巣癌患者の予後はBRCA1発現や遺伝子の状態には関係していなかった。<結論>BRCA1の遺伝子変化にそったBRCA1蛋白発現の低下は、散発性の卵巣癌の発生において重要な役割を果たし、特に組織型別では漿液性腺癌で重要であることが示唆された。
|
Report
(2 results)
Research Products
(1 results)