Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
内耳蝸牛内のコルチ器は,音の機械振動を電気信号に変換し,聴神経を介して脳へと伝える働きを有する.その際,コルチ器内に存在する聴覚の感覚細胞である外有毛細胞は,機械信号を増幅すると考えられおり,このような増幅振動メカニズムが聴覚の鋭敏性の源である可能性が高い.これまで,実験・数値解析の両面からメカニズム解明が試みられており,近年は特に,数値解析による解明が主として行われてきた.これまで構築されてきたコルチ器の数値解析モデルの特徴は,蝸牛内各部位の機械的特性を弾性と仮定しているところにある.しかし一方で,コルチ器を構成する外有毛細胞は,粘弾性特性を有することが報告されている.従って,より現実に近い数値解析を行うためには,コルチ器のモデル化にあたり,コルチ器各部位の粘弾性特性を考慮に入れる必要がある. そこで本研究では,まず初めに粘弾性特性が既知であるシリコンゴムに対し,昨年度構築した粘弾性特性計測システムを用い,粘弾性特性を計測した.さらに計測値を既知の値と比較した結果,本システムを用いた計測方法は粘弾性特性計測に有用であることが確認された.次に外有毛細胞の粘弾性特性を計測するとともに,それを考慮に入れた細胞振動モデルを構築した.そして,振動の周波数応答を解析した結果,特に細胞の粘性が大きく寄与し,高周波数ほどみかけの硬さが増すことがわかった.蝸牛は周波数弁別機能を有し,高周波数を感知する基底回転側の細胞ほど大きな力を発生すると予測されているが,これには細胞の粘性特性も関与していることが示唆された.
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