Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
今回の研究の目的は、最も一般的な『臨床的』動揺病である車酔いにおいて、1)空間識障害とそれに続く姿勢制御の不安定化の有無を調べる。2)実験的動揺病で得られた理論が車酔いにも適用できるか検討する。3)最終的に得られた結果から、医学的根拠に基づいた車酔いの有効な予防法を提案する。ことである。今年度は、車酔いにおける姿勢制御の不安定化を調べるため、自動車内で頭部運動を記録した。頭部運動は、車内にビデオカメラを設置し、被験者の頭部にマーカーを装着し、ビデオ画像から解析可能した。解析は、申請者が開発したNIH Imageを用いた動作画像解析法を用いた。実験の結果、同じ助手席であって車の動きが良く分かる明所開眼では全く動揺病が出現しなかったが、遮眼ではいずれの被検者でも動揺病が出現した。この動揺病は、コースの周回を重ねると徐々に増悪した。一方、頭部運動は、明所開眼では安定していたが、遮眼では不安定であった。この不安定化は、周回1周目から出現しており、過去の実験的動揺病研究で得られた結論と同様に、車酔いも空間識障害から姿勢制御の不安定化が出現し、そのために動揺病症状が出現することが判明した。さらに今回の研究では、車が次に右へ曲がるか左へ曲がるかを事前に教えることで予測制御を可能とすると遮眼条件であっても動揺病を予防可能であることも判明した。