Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
1.生後7日のC57BL/6Jマウスを75%高濃度酸素下で5日間飼育することにより網膜血管新生を惹起し、高酸素負荷マウス網膜血管新生モデルを作成した。2.生後15日の高酸素負荷マウスと非負荷マウスの網膜よりmRNAを抽出し、DNAマイクロアレイを用いて発現遺伝子の比較解析を行った。高酸素負荷群においては、血管新生に関与する既知の遺伝子に加え、クリスタリンファミリーの著明な発現増加を認めた。3.解析データをもとにクリスタリンの発現について、網膜伸展標本、凍結切片を用い、蛋白レベルでの局在を免疫組織化学的に検討した。高酸素負荷マウスにおいて、生後15日ではクリスタリンはneovascular tuftと呼ばれる塊状の新生血管の周囲に局在を認めた。4.Western blottingにより網膜におけるクリスタリン発現の経時変化を検討した結果、クリスタリンは生後12日から15日の網膜血管新生初期に高発現を示した。5.増殖糖尿病網膜症患者の硝子体手術時に採取された新生血管を含む増殖組織を用い、クリスタリンの局在を免疫組織化学的に検討した。増殖組織においては、クリスタリンは新生血管の周囲に局在を示した。以上より、網膜血管新生にクリスタリンが重要な役割を担っている可能性が示唆された。これらの結果については現在、論文投稿準備中である。