Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
レーザー光凝固を用いて動物(Brown Norway Rat)に実験的に脈絡膜新生を誘発した。一定期間後にラットを屠殺し眼球を摘出、パラフィン切片を作成した。切片は形態学的にはヘマトキシリン・エオジン染色を用いて検討した。また免疫組織化学的手法を用いて蛋白局在の検出に用いた。レーザー瘢痕部では早期にはシクロオキシゲナーゼ2や誘導型NO合成酵素の局在とNF kappa Bの活性化がみられた。これらは全て炎症反応に関与するものである。Nfkappa Bを活性化させる主なサイトカインとしてTNFαがあるがこのTNFαの有無による血管新生の状態について血管新生キットとTNFαKOマウスを用いて検討した。その結果TNFαの存在下では血管新生は抑制されており、TGFβによる血管新生も抑制することがわかった。また、同様にモルフォゲンであるソニックヘッジホッグ(Shh)の局在もレーザー照射部周囲の神経網膜及び網膜色素上皮細胞等に免疫染色性がみられ、そのシグナル伝達に関わるGli3やShhの標的遺伝子であるPtcの蛋白も検出され、しかも同部ではShhのシグナルが影響を及ぼすサイクリンD1も検出された。これらの蛋白は全て細胞増殖に関与するものであり血管内皮細胞の増殖サイクルに影響をあたえ、脈絡膜血管新生に間接的に関与している可能性が示唆される。また、シクロパミンを用いたShhシグナルの阻害実験を血管新生キットを用いて検討した結果、シクロパミンによるShhシグナル阻害が血管内皮細胞による管腔形成や血管の分岐形成を阻害することが確認された。今後、in vivoでの脈絡膜血管新生へのShhの関与をさらに検討する予定であると共にShhとNF kappa Bの関連の有無に関しても検討する予定である。