歯胚エナメル器における基底膜型ヘパラン硫酸プロテオグリカン・パールカンの役割
Project/Area Number |
15791038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Morphological basic dentistry
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
依田 浩子 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (60293213)
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Keywords | ヘパラン硫酸プロテオグリカン / パールカン / トランスジェニックマウス / 過剰発現 / 歯胚エナメル器 / 上皮細胞間隙 / 細胞外基質 / ケラチン5プロモーター |
Research Abstract |
今年度は、前年度に作製したパールカン上皮細胞過剰発現系トランスジェニックマウス(Tg)の歯胚組織について、とくにエナメル器に着目して組織学的変化を検索した。まず、胎生期から生後の各歯胚発育段階の野生型マウスおよびTg頭部組織のPFA固定パラフィン連続切片を作製し、パールカンおよび各種細胞外基質と増殖因子の免疫組織化学的検索をおこなった。その結果、パールカン蛋白質はケラチン5に一致した局在をしめし、発現鐘状期(胎生18日)のTg臼歯歯胚エナメル器では、歯堤上皮索の肥大と星状網の細胞間隙の拡大が著明で、同部にはパールカンが高度に沈着していた。さらに歯乳頭細胞密度も減少していた。歯冠形成期(生後1日)では、エナメル器内への血管侵入が減少して星状網容積が保持されており、歯冠形態の鈍縁化をきたし、象牙芽細胞の不整列も確認された。したがって、パールカンは歯胚エナメル器細胞の分化と歯冠部形態の誘導に重要な役割をはたし、さらに象牙芽細胞の分化にも関与していることが示唆された。次に、胎生18日、生後1日および生後7日の下顎第一臼歯歯胚組織よりRNAを抽出し、RT-PCR法にて発現遺伝子の差異について検索した。その結果、生後1日齢歯胚において、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、トランスフォーミング成長因子β1(TGF-β1)などの各種増殖因子の軽度発現上昇が確認された。したがって、パールカンはこれら増殖因子を時期特異的に発現調節することによって、歯胚エナメル器の構築ならびに歯胚形成に重要な役割を果たしていることがあきらかとなった(裏面研究発表1,5)。 以上、前年度および今年度の研究結果より、上皮細胞が産生する細胞外基質分子・パールカンが、歯胚ならびに各種上皮組織(毛、皮膚、唾液腺等)の形態形成や恒常性維持に果たす役割の一部が解明され、今後の再生医療の発展にも新たな研究展望がえられた。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)