分子シャペロン複合体による膜タンパク質の成熟化・分解への双方向性調節と選択機構-唾液腺に発現する嚢胞性線維症原因遺伝子(CFTR)をモデルとして-
Project/Area Number |
15791059
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Functional basic dentistry
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉田 誠 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (50235884)
|
Project Period (FY) |
2003 – 2004
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
|
Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2004: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2003: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
|
Keywords | CFTR / 膜タンパク質 / 嚢胞性線維症 / シャペロン / MAPK |
Research Abstract |
膜タンパク質であるCFTRの遺伝的機能不全症(嚢胞性線維症)は、全身性外分泌腺機能障害・呼吸器感染を誘発する致死率の高い疾患であるが、その多くは細胞膜上でチャネルとして機能すべきCFTRが、変異により、ERで正常なコンフォメーションをとれず、ユビキチン化され、分解されることに由来する。本研究では、分子シャペロン複合体がCFTRの成熟化と分解をいかにして調節するか、その分子機構を解明することを目的とした。従来の研究で、CFTRの成熟化にはMAPKにより機能制御される未知分子のCFTR・Rドメインへの結合が関与することが示唆され、Rドメインに接着する分子をスクリーニングし、3種類の遺伝子(the CFTR R-domain Interacting Protein (CRIP) : CRIP1,CRIP2,CRIP3)をクローニングした。CRIP遺伝子ファミリーは、相同性が高くZinc Ring Fingerを有するC末端領域で、CFTR・Rドメインに結合し、中央部でシャペロン分子Hsc70と結合する。CRIP1,CRIP2,CRIP3はMAPKによるリン酸化サイトを保有しており、活性型MAPKの発現レベルにより、タンパク質の安定性およびプロセシングのパターンが制御された。CRIPのN末端とC末端にそれぞれ異なる蛍光タンパク質(GFPとDsRed)を融合したトランスジーンを培養細胞に発現させ、生細胞内でのCRIPの挙動をタイムラプスイメージングにより観察すると、CRIPは主に核内に局在するが、一過的にCRIPのC末端領域のみが核から細胞質へ移行した。更にCRIPを強制的に細胞質もしくはERに局在させると、CFTRの発現量は低下し、分解が促進されることが示唆された。CRIPはC末端領域にZinc Ring Fingerモチーフを有するが、E3ユビキチンリガーゼとしては機能せず、逆に別のタンパク質(CHIP)によるCFTRのユビキチン化を抑制した。CRIPはMAPKによるリン酸化等により経時的に多段階に機能修飾され、一過的に、切断されたC末端が核から細胞質に移行し、ユビキチン化を介さない別経路で、CFTRの分解を引き起こすことが示唆された。
|
Report
(2 results)
Research Products
(1 results)