Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,認知症高齢者の摂食能力を強めるための環境デザインを探究し,臨床実践における有用性について検討することである。最終年度は,過去2年間の研究成果をもとに「認知症高齢者の摂食能力を強める環境づくり指針(以下,指針)」を作成し,それを用いた教育介入評価を実施して臨床実践での有用性を検討することを目的とした。 第一段階は,指針作成と有用性を評価するため,認知症ケアに携わる看護師13人を対象に指針を用いたセミナーを開催し,その前後で評価を実施した。対象は5年以上の臨床経験をもち,環境づくりへの関心は全員が高かったが,取り組んだ経験がある者はわずか3人だった。セミナー実践後,新たな発見や指針の臨床実践への有用性を評価した者は各々12人(92.3%)であった。他者評価でも全員に変化を認め,討議を経て精製した指針は「1.環境刺激の質の検討と調整」「2.見当識を補完かる環境支援」「3.過去と現在をつなぐ環境支援」「4.機能的な能力を高める環境支援」「5.快適さと安全をもたらす環境支援」「6.食事に専心し楽しむための内部環境の整え」「7.自己尊厳を守り主体性を引き出す環境支援」「8.社会的交流を促進する場づくり」の8要素39項目で構成された。 第二段階は,認知症ケアが未経験の看護者への指針適用による有用性を検討した。看護学生8人を対象に,教員3人が本指針を用いて3週間指導を行い,介入前・中・後で指針項目別達成度を4段階評価した。結果,認知症高齢者の摂食能力や対象の学習力により評価は左右されるが最高29項目,最小13項目の改善を認め,中には全介助だった認知症高齢者が自力で摂食できるまでに改善した事例もあった。全教員から「根拠をもち指導できる」「指導漏れを防げる」などの肯定的評価を得た。以上より,指針の有用性は示されたが,要素3・4で判定に迷う項目もあり,今後さらなる検討が必要である。
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