Outline of Annual Research Achievements |
1. 研究目的 本研究では、まず日韓の大学入試問題(中国語)の比較分析を行い、その特徴を明らかにする。次に得られたデータと授業用に作成したプリントをもとに中国語母語話者の生徒を対象にしたCFL(Chinese as a foreign language)の補助教材を開発することを目的とする。 2. 研究方法(1)試験の概要(受験者数、範囲、出題形式など)について韓国で情報収集をし、比較を行う。(2)日韓の過去5年間の入試問題を入手し、語彙サイズ(総語数、異なり語数)について分析する。また統計ソフトを用いて、特徴語を抽出する。(3)《HSK》(中国語レベル試験シラバス)を用いて日韓の試験問題の語彙との一致率を求め、比較する。(4)分析で得られたデータから(レベル別、頻度別の)語彙表、文法項目表を作成し、指導で用いてきたプリントなども合わせてCFL補助教材を作成する。 3. 研究結果 韓国の受験者数は、日本の11.6倍(2014年度)で、試験範囲は『中国語Ⅰ』(語彙数400語前後)と設定され、時間も日本の半分以下の40分である。出題形式では、日本のように長文問題はないが、文化などに関する知識問題が出題されている。語彙サイズについては、異なり語数では、日本は韓国の2.1倍、総語数では2.2倍となっていることが判明した。次に試験に出現する語について対数尤度比検定を行った結果、日本では書面語が、韓国では人称代名詞や基本的な動詞が特徴的に出現することがわかった。さらに《HSK》を用いて、入試問題の語彙との一致率を求めたところ、日本の問題では1級(入門レベル、半年間の学習時間を設定)の語が35%であったのに対し、韓国では48%と半数近くを占め, 4~6級では、日本は20%、韓国は9%となった。よって、語彙の面から言えば、日本の方が難易度が高いことが判明した。 4. 研究成果 中国語でまとめた論文を中国国内の中国語教育関連の学会誌に投稿することにしている。作成中の補助教材については、今年度中に配布の予定である。
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