Project/Area Number |
15H00033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
史学
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Research Institution | 福島県立博物館 |
Principal Investigator |
杉崎 保惠 福島県立博物館, 学芸課, 副主任学芸員
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Project Period (FY) |
2015 – 2016
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2015)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2015: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 象嵌 / 展示環境 / 劣化機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
古墳から出土した金属製象嵌遺物は、多くの場合、表面が錆こぶで覆われているために象嵌文様の全体像を目視できない。考古学の調査、博物館施設での展示に供するため、表面の錆こぶを削り落とす、象嵌の表出という作業を経て文様があらわになる。古墳時代に比較的類例が多いとされている鉄地銀象嵌の場合、材質の性質上、象嵌の表出の後に鉄が腐食して錆こぶとなり象嵌を覆うこと、空気中の成分と象嵌線の銀が反応して象嵌が変色して、象嵌の鮮明さが失われることが、博物館施設での管理の上で課題となりうる。特に、海岸近くの遺跡においては長年の埋蔵環境の過程で、海塩粒子に由来すると考えられる金属腐食の促進成分が象嵌製品の内部にしみ込んでいると考えるが、現代保存修復の技術においては、腐食の促進成分を完全には除去できない。 博物館施設において教育普及に資することを前提に、展示ケースの空気環境を研究対象とした。適切な空気環境を構築する上で重要な因子を、温度、湿度、ガス状化学物質、塵埃と限定した。これらの因子を管理する上で、空気調和設備、照明、ケース内装材、ケースの排熱機構に関して、建設から30年程度の博物館の既存設備を適切に更新する要件を整理した。さらに、空気環境の維持管理において、既存設備の季節に応じた検査結果から、実現可能な定期検査と検査結果に基づく対処に関するリスクアセスメントを作成した。
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