木製品・漆器の用材分析と年輪年代学的検討に基づく中世・近世の木材消費の様相の解明
Project/Area Number |
15H00034
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
史学
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Research Institution | 東京都埋蔵文化財センター |
Principal Investigator |
鈴木 伸哉 東京都埋蔵文化財センター, 調査研究部, 調査研究員
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Project Period (FY) |
2015
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2015)
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Budget Amount *help |
¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2015: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 中世 / 近世 / 木材 |
Outline of Annual Research Achievements |
東京都内・鎌倉市内遺跡から出土した木製品・漆器の用材分析と年輪年代学的検討に基づき、中世・近世の都市における木材消費の様相およびその背景となる森林資源利用の歴史的変遷を解明することを目的とし、木製品の樹種同定および年輪年代学的検討をおこなうことで、素材となった木材の生育年代や生育環境、原産地の推定を試みた。なかでも漆器はX線CTおよび磁気共鳴画像法(MRI)を用いた非破壊分析によって木胎部の観察をおこない、これまで未開拓であった中世・近世の漆器生産・流通史の復原を試みた。 非破壊分析による漆器の内部構造の観察では、X線CTによる東北地方の民具を資料とした検討をおこない、漆器の主要樹種のひとつであるブナ属の年輪曲線のクロスデートに成功した。この成果は日本文化財科学大会において発表し、ポスター賞を受賞するなど大きな反響を得た。今後、資料の増加を図るとともに、MRIによる出土漆器を対象とした検討の結果と総合した、漆器の産地推定法の確立を目指す。 鎌倉市内の中世遺跡から出土した木製品の用材については、「木材の中世」(高志書院)所収の論文によってその概要をまとめ、針葉樹の多用という同時期の都市に共通した特徴と、都市間における地域的差異、都市と村落の用材選択の違いを明らかにした。それとともに鎌倉市教育委員会所蔵資料を対象とした調査をおこない、用材および年輪に関するデータを蓄積した。資料調査は今後も継続して実施し、資料の蓄積を図る。 近世については、伝馬町牢屋敷跡(東京都中央区)出土資料等を用いて、これまでに都内遺跡の資料をもとに構築したヒノキ属の標準年輪曲線の拡充をおこなった。磁気共鳴画像法(MRI)を用いた出土木材の年輪計測は好適な資料に恵まれず、研究はやや停滞したが、引き続きデータの蓄積をおこなう。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)