Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的 : 本研究は、学校現場の若手教員を対象とした校内研修においてケースメソッド教育を用いた研修プログラムの開発を行い評価することを目的とする。ケースメソッド教育とは、参加者が判断や対処を求められる模擬ケースを教材に討論し, 当事者の立場に立って, とるべき行動を判断できるようになるための参加型・問題解決型の学習方法であり、各分野でその活用が進められている。 ケース教材の開発 : 初任者研修・経験者研修で実際に行われている研修内容について検討を行い、学級経営・生徒指導に関する項目について4つのケース教材の作成を行った。ケースを作成する際は、若手教員からの聞き取り調査を行い、執務の悩みや問題点を参考に作成した。 研修の実践と評価 : 作成したケースを用いて4回の校内研修を実践した。研修時間は90分とし、20分のグループ討議、50分の集団討議を行った。それぞれ実施後に、調査用紙を用いて、属性、ケース・研修に関する項目(4件法)と、自由記述による評価を行った。また、全ての研修後に参加者によるグループインタビュー調査を実施した。 研究の結果 : ケース教材は「身近」で「理解しやすい内容」であり、研修は「自己の課題の解決、校務等に役立つ」、「ディスカッションの内容は今後に生かせる」ものであった。また、「新しい視点の発見」や「新たな知識の習得」だけでなく「実務への取入れの意欲」「自己の実務の振り返り」など参加者の思考の変容、さらに「教員間のつながり」、「他の教員からの学び」など、研修の形態による成果も抽出された。 今回の研究から、「ケースメソッド教育」は校内研修に活かすことができる教育方法であると考えられた。今後、校内研修での活用を広めるため、さらに汎用性を持つ研修プログラムへの改善に向けた検討を進めていく必要があると考える。
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