アトピー性皮膚炎罹患生徒が相談しやすい環境づくりのための基礎研究
Project/Area Number |
15H00065
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
教育学・教育社会学
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Research Institution | 愛知県立日進西高等学校 |
Principal Investigator |
杉村 直美 愛知県立日進西高等学校, 養護教諭
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Project Period (FY) |
2015
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2015)
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Budget Amount *help |
¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2015: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 障害学 / 学校保健 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的 アトピー性皮膚炎に理解している児童生徒が、学校生活を円滑におけるよう相談体制をととのえることが目的である。そのため、まずは学校保健におけるアトピーの扱われ方を把握したうえで、アトピー当事者からライフヒストリーを聞き取っていくことで、有効な支援体制のあり方を考察する。 研究方法 ①学校保健の動向を把握するため、日本学校保健会の刊行物と養護教諭むけの雑誌『健康教室』(1947年創刊)を対象とし、アトピーに関する記載を収集する。 ②「cinii」において、アトピーに関する雑誌論文を抽出。アトピー罹患者がおかれてきた環境(学校や仕事との関係、性格特性、家族関係など)に焦点をあてた論文を収集。 ③「アトピーフリーコム」「あとっぶ」といった患者団体に連絡をとり、インタビュー調査の依頼をする。 研究結果 ①『健康教室』におけるアトピーに関しての記述は1977年が初出であり、90年代をピークとしていた。記載については、皮膚科医やアレルギー医が「スキンケア」や「受診」の重要性を説くスタイルだが、「母親の治療態度」を問題にする記載がめだった。養護教諭が養護教諭対象に行った「アトピー性皮膚炎罹患児童・生徒への対応」に関するアンケートにおいてもその影響がみられた。 ②雑誌論文を検索したところ、1970年代から90年代において、アトピー罹患者及びその家族の性格特性に関する調査が多くみられた。アトピー罹患者自身とその母親の性格特性が発症に起因するといった見解がほとんどであり、①でみられた医療者の姿勢と共通点が多い。しかし2000年代前後には、罹患者やその家族の困難感に焦点をあてた論文がみられるようになり、2000年代後半には患者側への聞き取り調査も多くみられるようになる。そこでは、「スキンケア」や「薬物治療」への疑問も語られ、治療方法を医療者と共に選択したいという希望も語られている。「医療サイド中心」の論文から、「患者支援」へ、そして「患者中心」の論文へとおおまかな流れあることが把握された。 ③アトピー罹患者がつどう集会などに参加しつつ、インタビュイーを探した。アトピー罹患者にとって、「仕事」をどうするかは大きな問題であり、「就職」「進学」の際にも大きく影響していることがわかった。また薬物治療への態度も、大きくわかれる。基本的に「アトピー」は、「痒くてかさかさする」程度から社会生活に影響を及ぼすものまで個人差が大きいこと、さらに個人内でも状態の変動が激しいために精神的な揺れ幅も増幅されることがわかった。そのため「一律」の支援はかなり困難であるが、周囲にアトピーに注目しすぎず、しかし状態がひどくても、受容してくれる家族や友人がいることが重要であるとの見解は、多くの人に共通していた。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)