Outline of Annual Research Achievements |
○研究の目的 震災4年経過した被災地において、震災当初から進められた支援活動(本研究ではスポーツ・文化・芸術関係に重点を置く)が支援を受ける側にとってどのような心理的な影響を受けたか、時間経過を追いながら明らかにしようとするものである。 震災関係の児童生徒の心的ダメージ, それをめぐる支援については多くの報告がなされている。しかし, こうした報告はあくまで支援する側の考えでまとめたものであり, 児童生徒のいわゆる「本音」を反映していないのではないか, 実際に支援を受けた側の心的変化について時間経過を追って示したいと考えた。 ○研究の方法 概念地図法をベースにした調査票の作成を行い, 自らの支援を受けた活動について、時間経過を追って、思いの変化を示せるようなシートの作成を試みる。過去から現在、そして将来という枠組みを基本として、被災時から現在までは自分なりに転機となる事項で時間を区切るというものにして、心的変化を自分なりに記述できるものとし, 記述内容の分析を試みる。 ○研究の成果 ・震災後の心理的変化は, 親の障害のある子の受容過程と類似しているが, 個人差が大きく, レジリエンスの違いが大きく影響している。 ・震災からすぐの時期には支援を受けることを容認していた心が, 支援を当然と考えるように変化し, 非日常性を求めるために支援を歓迎する心に至る過程が確認された。支援が日常性の打破という働きを持ち, 心理的影響に両面がみられた。 ・震災復興という施策のもとに心のケアが大きく取り上げられているが, 日常性の回復とレジリエンスの強化という視点を合わせて考えていく必要がある。
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