Outline of Annual Research Achievements |
○研究目的 日本の思春期の男女(高校2, 3年生 17歳~18歳)を対象として、欧米の知見を取り入れた「性の健康教育プログラム」(保健科教育)を開発し、介入研究を行うことで、知識、規範、態度、自己効力感等の効果を検討することを目的とする。 ○研究方法 (1)対象 沖縄県内のA高等学校(全国高校レベル偏差値約35)の2年生、3年生計144名を解析対象とした。(2)調査期間 事前テスト平成27年5月1日~5月15日 事後テスト 平成27年10月23日~11月20日 介入期間 事前テスト1週間後~事後テスト1週間前(13時間) (3)「性の健康教育プログラム」はSocial Cognitive Theory(Bandura, 1986)、social influences models(McGuirc and Papageorgis, 1961), Theory of Reasoned Action(Fishbcin and Ajzcn, 1975), Hcalth Belief Model(Rosenstock, 1974)をベースとした。(4)調査内容と手続き ①知識(17問正誤) ②規範尺度 ③態度尺度 ④断る自己効力感尺度 ⑤コンドーム使用の規範尺度⑥コンドーム使用の態度尺度⑦コンドーム使用の自己効力感尺度⑧コンドーム使用の障壁尺度⑨会話の自己効力感尺度(②~⑨は、SRBB尺度Basen-Engquistet al., 1999 5件法) (5)介入群78名とコントロール群66名に分けた。一方は開発した「性の健康教育プログラム」を実施し、一方は画像も取り入れたICTを活用した健康のプログラムとした。(6)分析方法と評価 繰り返しのある2元配置分散分析により介入クラスの教育効果を評価した。 ○研究成果 知識、規範、態度、断る自己効力感、コンドーム使用の規範・態度、コンドーム使用の自己効力感、コンドーム障壁、会話の自己効力感もどれも介入群と対照群における交互作用の有意差はなかった。しかし、知識の平均が事前(12.05点)から事後(13.4点)、規範の平均が事前(5.97点)から事後(6.21点)、態度の平均が事前(5.66点)から事後(5.87点)と伸びていた。態度においては、群の主効果が5%水準で有意であった。断る自己効力感の平均が事前(10.52点)から事後(10.94点)、コンドーム使用の規範の平均が事前(10.64点)から事後(11.05点)、コンドーム使用の態度の平均が事前(10.21点)から事後(11.09点)、コンドーム使用の自己効力感の平均が事前(9.27点)から事後(9.57点)、会話の自己効力感の平均が事前(11.45点)から事後(11.68点)と伸びていた。対照群との伸びの差は介入群に顕著だった。これは、開発したプログラムの効果が僅かながらも効果的だったことが示唆された。
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