Outline of Annual Research Achievements |
【研究の目的】 本研究は, 中等音楽科教育における表現領域と鑑賞領域の往還を目指し, その指標としてのパフォーマンス評価の開発を試行することを目的としている。 現行の学習指導要領は, 各教科で育成したい資質・能力を明示しているものの, 教科・領域横断的に育成すべき資質・能力が見えにくいことが指摘されており(国研2013), 次期学習指導要領では, 各教科・領域を通して育成する資質・能力が明確に示されると考えられる。そこで, 本研究においてはこれまでに試行してきた表現領域と鑑賞領域を往還させながら学力育成を図る中等教育段階の音楽科カリキュラムを学習評価の面から担保し, 音楽科教育における21世紀型能力の育成を企図するものとしてパフォーマンス評価を位置づけ, その有用性と課題を導出しようとした。 【研究の方法】 (1)パフォーマンス評価に関する先行研究や実践を日本学校音楽教育実践学会等, あるいは書籍や資料から他教科を含めて収集・分析し, 音楽科におけるパフォーマンス評価の有効性や課題について整理する。 (2)これまでに試行してきた中等音楽科カリキュラムの中にパフォーマンス評価を組み込み, 作成したルーブリックをもとに授業実践を試みる。 (3)学習活動を映像に記録し, ルーブリックの検証および分析を試みる。 【研究の成果】 本研究においては, 教科等で育成する資質・能力を確かなものとするための評価方法としてパフォーマンス評価を位置づけ, 授業実践を通してその有用性を検討してきた。その結果, 以下の2点を成果としてあげることができる。 (1)表現領域と鑑賞領域を往還する学習活動においては, 評価の場面が多くなる。パフォーマンス評価を導入することで, 断片化しがちであった評価の場面を整理・統合することが可能となり, より柔軟な評価指標として運用できる可能性が示された。 (2)学習活動の検討にあたって, パフォーマンス評価を位置づけること自体が活動を精選することにつながり, 授業者と学習者の双方が活動の意味を理解しながら学習を進めることができた。
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