Outline of Annual Research Achievements |
1. 研究の目的 社会科学習において, 本来とらえるべき空間と時間の規模を違ってとらえて検討したり, 粗く物事を見てしまったりして, 本来とらえるべき規模でとらえられていないのではないかと考えた。小学校社会科では, 「同心円的な見方」の学習であるが, その枠組みを「スケール」のとらえ方で見直すことで, 本来とらえるべき空間と時間の規模で事象をとらえルことができるのではないかと考え, 適切なスケールを教師が選択して学習を進め, 児童が適切なスケールで考察できる授業実践のあり方について明らかにする。 2. 研究の方法 小学校5年生の地理的分野について, 教科書の記述内容を, 「地域を考察する3つのスケール」である, ミクロなスケール, メソなスケール, マクロなスケールで考察して分析する。その成果をもとに, 適切なスケールを組み込んだ授業実践を行い, 成果を検証する。 3. 研究の成果 5年生「自動車工場の工業立地」について教科書を分析し, 授業実践を行った。自動車工場は, 「輸送」の利便性から臨海部に位置することを, 一般化された知識(マクロなスケールの知識)として学習する。しかし, 最近では内陸部にも自動車工場が位置する限られた空間で起こる知識(メソあるいはミクロなスケールの知識)を説明することができない。そこで, 一般化された知識を再構築する学習(学び直しの学習)を位置づけた学習を行うことで, 一般化された知識もとに, 限られたスケールで起こる知識を組み合わせて, いくつかのスケールから考察することができた。学び直しの学習過程(ダブルループ学習)を位置づけることで, 適切なスケールを選択して考察する力の育成をはかることができた。
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