Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】生徒の多面的・多角的な思考力を養うために, ユニバーサルデザインの視点を取り入れた教材及びプログラムを開発し, その効果を検証する。 【研究方法】ユニバーサルデザインの視点に立った授業プログラムの流れについて, 生徒の興味に基づく社会事象・社会問題を教材として取り扱う。その教材をすべての生徒が同じ「学びの場」の中で, 練り上げていくために, ねらいと評価基準を明確化し, 思考を助長する適切な質問を行う(焦点化)。議論を焦点化させながら論議内容や思考過程の可視化を図るために, ICTを活用する(視覚化)。思考過程やそこから得られた価値観の交流を行う(共有化)。これら一連のプログラムにより, 多面的・多角的思考力の育成を試みた。プログラムの効果測定として, 「興味・関心」については, 観察法や質問紙法で, 「多面的・多角的思考力」については定期テストなどにおいてルーブリックによる評価を行った。 【研究成果】「焦点化」については明確な目標や評価基準を事前に示すことで, より高い基準を達成しようと努力する生徒が増え, 相対的に学習意欲も向上した。また, 課題を考える視点を明示することで仲間とより深まった議論を行えた。「視覚化」についてはICTの活用により生徒の思考内容を可視化したり, A2サイズの手作りボードを作成し, 手元のボード上で色や記号を使い分けながら議論を深めさせた。結果, 思考の深化やその過程の共有が促進された。「共有化」については4人グループ・コの字での学習形態と「視覚化」の相乗効果で生徒の対話活動が活発になった。また, 価値観の交流により多面的・多角的に思考しようとする姿勢が身に付いた。アンケートやテストを分析した結果, ユニバーサルデザインの視点を取り入れることで, 生徒は以前より主体的に学ぶようになり, 多面的・多角的な視点で社会的事象などについて思考することができるようになったといえる。
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