社会と学校をつなぐ映画評論活動の有用性に関する実践的研究
Project/Area Number |
15H00148
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
教科教育学Ⅰ(文科系)
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Research Institution | Japan Institute of the Moving Image |
Principal Investigator |
中山 周治 日本映画大学, 映画学部, 非常勤講師
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Project Period (FY) |
2015
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2015)
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Budget Amount *help |
¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2015: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 映画評論 / 批評教育 / メディア・リテラシー |
Outline of Annual Research Achievements |
10代の若者に映画の批評をする場を構築するための試行実験を行った。映画批評に限らず、批評に関わる言説は一部識者によるマスメディア上のものがオピニオンリーダーとして機能している一方で、一般市民による言説はインターネット上で一方向的、限定的にしか機能していない。インターネットが民意形成の重要なツールである現在、ネット上での市民の意見表出、コミュニケーションの頻度は、その社会の民度を図る指標である。批評精神が市民社会をよりよいものにするという意識を若者に形成させるための試みとして、神奈川県内の2つの高校の生徒が①映画館で同じ映画を見て、②ソーシャルネットサービス上で意見交換をし、③議論を小冊子にまとめ、④映画館のロビーに配し不特定多数に問う、という一連の活動を行い、そのプロセスと参加者の意見形成に関わる心理的な変化を観察した。ソーシャルメディアLINEを使ったこの実験で①電子空間での会話ルールを参加する高校生たちが決めることによって、議論が円滑に進む。②電子空間の会話は議論が活性化しやすい。③実際の対面会話とは異なる話者間の反応スピードが熟考、議論の深化をもたらす。④参加者全体の雰囲気がつかみ難く、全体的な合意形成をすることは難しい。⑤会話の仕組み、ルール設定さえきめ細かく設定すれば、会話を批評へと深化させ、汎用性、強度を持つ批評空間を生み出すことができる。以上を確認した。批評とは責任ある個人がその地位にかかわらず為しうることを高校生たちに伝える仕組みが必要である。その点、英国は個人の発信力、小さな組織の発信力に優れており、今回訪問したBritish Film Institute、Bangor Universityなど、いくつかの映画教育機関は、実践面ではでは日本と大きく変わらないものの、優れた情報発信力を有していることが分かった。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)